講演情報

[95]pH のすすぎ性能評価指標としての検討

橋本 素乃1,2, 松村 有里子1,2, 岩澤 篤郎1, 吉田 理香1, 森屋 恭爾1 (1.東京医療保健大学大学院医療保健学研究科, 2.東京科学大学病院)
【目的】臨床現場で機械洗浄のすすぎ性能試験を簡便に実施できれば,より洗浄の質の担保につながることが期待される.本研究では,模擬的なすすぎ排水として市販の機械洗浄用洗剤を希釈し,希釈液のpHと細胞毒性試験結果との関係からpHがすすぎ性能試験の指標となるか検討した.【方法】国内で市販の機械洗浄用洗剤のうちアルカリ洗剤2種,中性酵素洗剤2種,弱アルカリ洗剤1種を使用した.洗剤はMilli-Q水で段階希釈し,各濃度の希釈水のpHを測定した.細胞毒性評価はL929細胞,SIRC細胞,Changconjunctiva細胞に対して各濃度の希釈水を作用しMTT法により細胞生存率を求め,70%未満を毒性ありと判定した.【結果】消費者庁の合成洗剤におけるpH区分に基づいて中性をpH 6.0以上8.0以下とした場合,各洗剤が中性を示す濃度はアルカリ洗剤が0.00125%以下,中性酵素洗剤と弱アルカリ洗剤が0.01%以下のときであった.また,細胞生存率が70%以上だったのはアルカリAが0.009%以下,中性酵素Aが0.045%以下,アルカリB,中性酵素Bおよび弱アルカリAは0.09%以下のときであった.アルカリ洗剤と弱アルカリ洗剤では,細胞毒性が無いと判定された洗剤のpHが細胞毒性のあるpHより低かった.一方,中性酵素洗剤は細胞毒性が無いと判定された洗剤のpHが細胞毒性のあるpHと同程度またはそれより高いpHを示した.【結論】アルカリ洗剤および弱アルカリ洗剤は,pHをすすぎ性能試験の評価指標にできる可能性が示唆された.