講演情報
[教育講演5]歯科用ハンドピースの再処理における設計とバリデーション
高森 昭一 (㈱ナカニシ 研究開発部門歯科設計部)
歯科用機器においては,リプロセッシング(再処理)に関するユーザへの情報提供が各国の規制で要求されてきている.そのため,感染管理の重要性が高まる中で,歯科医院および医科系の中央材料部(中材)においても歯科用機器のリプロセッシングが求められる機会が増えている.本講演では,歯科用ハンドピースの中でも特に口腔外科領域で使用されるコントラアングルハンドピースに焦点を当て,リプロセッシングの課題と開発側の取り組みについて解説する.第一に,再処理しやすい製品設計について取り上げる.コントラアングルハンドピースはギア比の違いによって内部構造が異なり,それに伴い汚染状況や適切な再処理フローも変わる.本講演では,再処理を考慮した設計の観点から,外装の材質選定,強度,耐食性,加工性,コストといった要素がどのように影響するのかを解説する.また,設計段階での汚染リスク低減に向けた工夫や,再処理の効率化に貢献する技術についても紹介する.第二に,弊社内でのバリデーション体制の構築について述べる.歯科用機器のリプロセッシングにおいて適切な検証と品質管理は不可欠であり,当社では標準化された社内手順を確立している.本講演では,バリデーションの具体的な手順に加え,想定汚染部位の分析や,それに基づく洗浄・滅菌プロトコルの確立について説明する.さらに,医療現場からのフィードバックを活かした改善策や,今後の歯科機材開発の展望についても触れる.本講演を通じて,歯科用機器のリプロセッシングに対する理解が深まり,医科・歯科の連携強化の一助となれば幸いである.