講演情報
[教育講演6]臨床工学技士としての成長と展望
能登原 孝, 本田 靖雅, 堤 善充 (雪の聖母会 聖マリア病院 臨床工学室)
医療機器に興味を持ち臨床工学技士(CE)を志したのは14年前のことであり,医療と工学の両方に精通するこの資格を取得するため,学生時代には生理学,電子工学また医療機器の歴史に至るまで,多岐にわたり座学で学び知識習得に努めた.また,医療機器の知識を存分に活かそうと臨んだ病院実習では,自分の知識不足を痛感するとともに,座学と現場とのギャップに戸惑う日々であったように思う.入職後は機器管理部門に配属され,数千を超える医療機器の購入,保守・点検,資産管理を担当したことで,医療現場で医療機器に直接触れる日々が新鮮であり,かつ緊張とともに新たな学びに溢れていたように感じる.入職した当時に比し,医療機器の技術が飛躍的に発展していることを感じており,例示すればペースメーカの遠隔モニタリングやロボット手術は当時では先端技術であったが,現在では一般的な技術となっている.また,通信機能等の性能が向上し,システム運用の効率化も著しい進化を遂げている.CEは,単に医療機器を使用するだけでなく,常に最先端の技術や知識を学び,自身をアップデートし続けることが必要不可欠だと考える.また,医療機器のさらなる進歩・発展の一助には,現場の意見やアイデアを具現化するため,医工連携への積極的な参加をおこない,製品の開発・製造・流通を担う医療機器関連企業との連携をより一層深める必要があると考える.今後も産業技術の進歩により,医療機器が発展していくことは至極当然であるが,現在においても,通信技術の進展によるシステムの高度化やAIの登場,さらにはセキュリティ等,多くの諸問題を抱えており,それらの対応は避けては通れない課題である.今後は微力ではあるが,医療機器学会や医療機器に関する科学と技術の発展に貢献し,普及を促進するとともに,医療の進歩と医療機器産業の発展に尽力していきたいと考える.それゆえに,CEのさらなる活躍推進とともに,医療機器学会における学術的な研究活動に注力したいと考える.