講演情報
[パネルディスカッション1]医療機器保守管理を再考する~大学病院の医療機器一元管理への取り組み~
久保 仁, 井口 竜太, 土井 研人 (東京大学医学部附属病院 臨床工学部・医療機器総合管理センター)
東京大学医学部附属病院において使用される医療機器については,購入・更新・物流に関して経営戦略課・管理課,安全管理・研修に関しては医療機器安全管理委員会および担当部署である医療運営課,総合研修センターを担当する総務課,操作と保守管理に関しては臨床工学部等といった複数の部署が異なる業務を担当している現状がある.このような多岐にわたる業務を部署横断的に対応する必要がある中で,情報の集約化と可視化がなされていないことは問題であり,過剰な業務負荷や非効率的な運用,計画性のない医療機器に対する投資などをおこなう危険性があると考えられる.そのため,医療機器に関する財政的な効率化,医療安全における向上と病院機能評価・医療監視に対する対策,診療成績の向上と新規導入医療機器に対する対応,といった多方面での医療機器に関する業務を集約し対応する部署として,2023年4月に医療機器総合管理センターを設置し活動を開始した.この組織は,センター長を中心とした職種横断的なタスクフォースとして臨床工学部・企画経営部・事務部各課から構成し,これまで資産管理(資産台帳と機器台帳のすり合わせ),保守管理(医療機器の保有調査や高額修理への対応,マスタープランの提案)のほか,新規採用者や異動者への研修(新規導入医療機器研修,定期的な機器の研修など)や医療安全から再生医療等製品市販後調査への対応に至るまでをおこなっている.今回,これまでおこなってきた活動内容を紹介すると共に,タスクフォースメンバーでの活動の難しさ,活動を進める中で新たに見えてきた問題点と今後の対応策などについて報告する.