講演情報
[パネルディスカッション1]九州大学病院におけるMEセンター設計のコンセプト
定松 慎矢1, 三島 博之1, 冨重 明弘1, 塩瀬 明2 (1.九州大学病院 臨床技術部 臨床工学部門, 2.九州大学大学院医学研究院循環器外科)
九州大学病院は,平成10年より3期に分けた新病院の建設が開始された.MEセンターは,第2期診療棟に建設される計画であったが,新病院移転後の旧手術部跡地を利用して,平成14年5月より運用を開始した.その後,平成18年4月に現在のMEセンターへ移転した.当時の新病院建設の設計段階で,MEセンターとしての最重要課題は面積の確保であった.結果的に当院のMEセンターの総面積は約660m2を確保することができた.当時は全国的に見ても,かなり広い面積を確保することができた.当院のMEセンターを設計する際の基本コンセプトは,ME機器や人の動線の流れに配慮したことである.これはME機器の貸し出し,返却後の清掃や点検,また,次回の貸し出しまでの待機といった一連の流れを考慮した設計をおこなっており,いかにして効率よく運用できるエリアを構築するかという点は,面積の確保に次いで重要であると考える.また,MEセンターの運用にあたっては,ハード面の整備だけではなく,ソフト面についての配慮も必要である.当院では,独自のME機器管理システムを導入して効率化を図っている.システムは,2次元バーコードを用いた機器管理とRFIDタグを用いた機器の所在管理システムを重ね合わせ,さらに,機器の作動状態を抽出するシステムを組み合わせたリアルタイムME機器管理システムを構築している.システムを導入することで,少ない人員でも十分に業務に対応できるような体制をとっている.現在,部門システムと電子カルテの連携を検討している.その他,日常の業務は手術部や集中治療部,透析室などそれぞれの診療部門に派遣した形態で業務をおこなうが,臨床工学技士の拠点はMEセンターであるため,そのスタッフエリア(居住エリア)のアメニティにも配慮している.今回,このパネルディスカッションでは,当院MEセンターにおける設計のコンセプトやレイアウトの工夫,また,運用の実際と問題点などについて報告する.