講演情報

[パネルディスカッション5]診療報酬の基礎知識、医療機器と診療報酬の関係

渡邉 研人 (JCHO東京山手メディカルセンター 臨床工学部)
我が国の医療保険制度は,1961年に全ての国民が恩恵を享受できる仕組みとして国民皆保険制度が確立し,今では社会保障制度の根幹を成す仕組みとなっている.医療機器と診療報酬の関係性については,細分化された報酬体系への理解が欠かせない.特に保険医療材料については複雑な承認制度を設けており,1.技術料の加算として評価すべき保険医療材料(超音波凝固切開装置,在宅の酸素ボンベ),2.特定の技術料に一体として包括して評価すべき保険医療材料(腹腔鏡のポート,脳波計),3.技術料に平均的に包括して評価すべき保険医療材料(静脈採血の注射針,チューブ),4.(1.から3.以外で)価格設定をすべき保険医療材料(人工心臓弁,PTCAカテーテル,ペースメーカ)の4つに大別され,把握が難しい.近年,物価高の影響を受け,償還価格よりも販売価格が上回る逆ザヤ事例も散見されるようになった.世界に冠たる我が国の医療保険制度を持続可能とするためにも,医療機器と診療報酬の関係性を理解し,病院運営に協力的な診療体制の構築が必要となるだろう.