講演情報

[シンポジウム10]2040年問題における臨床工学技士の役割と在宅医療参入への課題

肥田 泰幸 (東都大学幕張ヒューマンケア学部臨床工学科)
今後15年間で高齢化がさらに進行し,2040年問題が医療政策の大きな課題となることは避けられない.医療資源の制約により入院治療の適用が縮小し,在宅医療の拡大が予想される中,社会保障費の増大に対する対策として,生命維持管理装置の適正管理やリモート保守によるコスト削減など,在宅医療機器の適切な運用支援が重要となる.しかし,現状では臨床工学技士(CE)の関与は限定的であり,その役割は十分に発揮されていない.終末期医療の需要が高まる中,臨床工学技士の介入は患者のQOL向上に貢献できる可能性が高い.しかし,法制度や保険制度の壁に加え,すでに医療機器メーカや業者が業務として定着している現状があり,容易に参入できる環境ではない.一方で,医療機器を在宅で使用する機会は確実に増えており,操作やトラブル対応に関するニーズは拡大している.CEが在宅医療へどのように関与すべきか,また,制度的課題をどのように解決するかについて議論を深め,2040年問題の解決に向けた具体的な方向性を模索する必要がある.