講演情報
[シンポジウム5]CSSDにおける臨床工学技士の役割と展望
田淵 陽介 (香川大学医学部附属病院 医療技術部臨床工学部門)
手術器械の適切な管理と滅菌保証は,医療安全の確保に不可欠である.近年,臨床工学技士(CE)は,中央材料部門(CSSD)においても業務の幅を広げつつある.今回,当院におけるCEのCSSD業務と役割について紹介する.当院では,CEは主に内視鏡手術器具の管理をおこなっており,滅菌前の点検・組立を通じて,手術器械の不具合を事前に発見し,手術中の破損や機能不全のリスクを軽減している.また,予測できない手術器械や医療機器の異常,動作不良に対しても,手術器械の取り扱いや使用方法を把握していることで,迅速かつ的確な対応が可能となり,手術遅延防止にも繋がっている.さらに,管理対象となる手術器械の扱いについて,看護師への定期的な勉強会を実施するとともに,材料部や手術部スタッフ,滅菌管理システム業者と定例会を開催し,情報共有や意見交換をおこなっている.CSSDにおけるCEの関与は,医療安全の向上に寄与するだけでなく,手術環境の質を高める可能性があると考える.本シンポジウムを通じて,CEの役割をより明確にし,多職種連携の強化や,より効率的なCSSD運営の在り方について検討したい.