講演情報

[シンポジウム6]医療機関に求められる情報セキュリティ対策の考察

宇賀神 敦 (医療AIプラットフォーム技術研究組合)
医療機関では,2024年から医師の時間外労働の上限規制が始まり,医療従事者の働き方改革が喫緊の課題である.また,2025年には団塊の世代が全て後期高齢者となり,医療・介護の担い手不足への対応が求められている.一方で,政府が進める医療DXの取り組みは,オンライン資格確認,標準電子カルテ,電子カルテ情報共有サービス,マイナポータルなどがあり,これらの取り組みに対して国民へのわかりやすいメッセージの継続的な発信と国民のセルフケアに対する意識向上策が重要となる.医療機関が抱える課題の解決には,クラウド型AIサービスの利用促進や医療機関内外の多職種によるデータ連携の実現が必要となる.さらに,これらの取り組みと政府が進める医療DXを医療機関にとって意味のあるユースケースとして融合させ,具体例を示していくことが重要であり,医療機関のサイバーセキュリティ対策が不可欠である.医療機関は,その重要性は認識しているものの,医業に比べて優先順位が上がらない現状がある.本発表では,医療AIプラットフォーム技術研究組合(略称HAIP)が厚労科研で取り組んでいる医療機関へのヒアリング結果に基づいた考察およびサイバーセキュリティ対策への具体的な取り組みについて述べる.さらに,クラウド型医療AIサービスを医療機関が安全・安心に利用する方法や医療機関における生成AIの利用にあたってのポイントについて述べる.