講演情報

[T89]中規模以上の病院の経営改善に不可欠なCSSD 集中監視制御システムの構築方法

中野渡 寛之 (㈲東奥電気)
【背景】当社は手術器械の個体管理システムを開発している会社であり,手術部や滅菌供給部門(CSSD)で仕事をさせて頂いている.CSSDを訪問する時いつも気になっていることは,同一メーカ装置間のシステム化は進んでいるがCSSD全体としてデータが連携されていないことである.化学プラントなど産業界の現場では,省力化や品質管理,コスト削減などのためにメーカの枠を超えたデータ連携が当たり前のように行われ,施設全体が一つのシステムとしてセットアップされている.一方,CSSDも一つの医療機器再生プラントであると考えれば,システムがメーカごとに独立してデータが連携されていない状況は,業界全体で改善をしていく必要があると思われる.そこで本演題では,CSSD内のデータを連携する集中監視制御システム(SCADA)を構築するための要点を解説する.【方法】SCADAは病院移転時などCSSD新増設時に構築することが合理的ではあるが,既存施設でも対応できる場合があるので検討して頂きたい.SCADA構築の要点は2つある.1.各装置のシステムが,病院側で必要とするデータの外部出力(データ連携)に,どのような形で対応できるかメーカに確認する.(Ethernet,RS-485通信,データベース連携,CSV渡し等)2.新設の場合は通信ケーブルのルートを確保し,既設で配線が困難であれば,無線やクラウド経由での連携を検討する.この2点を病院側でフォローして頂ければ,あとは発注先のプログラマーの能力次第でSCADAは構築できる.最も重要なことは,設備更新時にデータの外部出力機能を装置の必須条件とすることである.【結語】CSSD内のシステム化は,中材看護師長など仕様を決める立場にある人が,意識的にメーカ担当者へシステムをつなげることへの理解と協力を働きかけなければ,メーカ任せでは進まない部分がある.病院関係者には経営改善や人手不足の有効な対策の一つとして,CSSDのSCADA構築をご検討頂きたい.