講演情報

[T93]AI 画像センサによるLI,特殊器械セット管理支援システムの開発

中野渡 寛之 (㈲東奥電気)
【背景と目的】手術部には貸出器械 (LI)や特殊器械セットが多数存在する.これらは中央材料部で再生処理されるコンテナセットや外来・病棟で使用される器具,いわゆる鋼製小物より管理が難しい点がある.例えば,LIはメーカやディーラからの貸与品であり,病院で2次元シンボル(DPM)やICタグを取付けることができない.また,特殊器械セットは樹脂や透明チューブなど繊細な医療器具が多いため,DPMやICタグを取付けることが難しく,個体識別 (UDI)を利用した管理が基本的にできない.このような事情から,当社ではA大学病院から依頼を受け,数年前に手術部内のLIや特殊器械セット・単品の管理を支援する簡易的なシステムを製作したことがある.そのシステムはラベルのQRコードを読込むと,セットや単品の画像と洗浄・滅菌方法の表示,器具を取扱ったスタッフの履歴を登録できるといった単純なものであったが,現場から一定の評価を頂いた.しかし,画像を見てヒトが各ユニットの器具を判別していくことから,ヒューマンエラーの発生リスクは残ったままであった.そこで当社では,よりレベルの高いシステムを構築することを目指し,AI画像センサを用いたLIと特殊器械セットの管理支援システムを開発することにした.【方法】システムの主要な構成品として,製造現場で使用されているAI画像センサを活用する.製造現場では色の判別,数量確認,文字認識など,あらゆる場面でAIが実用化されている.AIをLI等の器具管理に用いるメリットは,器具に刻印をしなくてもデータベースに登録されているマスタ画像と,カメラに写っている画像を照合して器具の種類を瞬時に判別できる点にある.その結果,AIとヒトのクロスチェックにより,管理精度の向上が期待できる.【結語】人材不足があらゆる業界で社会問題化している現在,AIを使った支援システムは,医療現場においても今後ますます必要になっていくと思われる.