講演情報
[T94]AI によるオペ室内での高速器械カウントに関する基礎研究
中野渡 寛之 (㈲東奥電気)
【背景】手術器械管理システムを開発していると,現場の声として必ず出てくる要望がオペ室での器械カウント自動化である.当社では滅菌供給部門(CSSD)で使用する管理システムの実践経験はあるが,同じ手術器械を扱う場合でも,オペ室の運用とCSSDでの運用は性質が異なり,CSSDの手法をそのままオペ室では使えない.最も大きな違いは,オペ室での器械管理は数量確認(カウント)が主な目的であることからスピードが重視されるのに対し,CSSDではスピードよりも器械に破損など異常がないか,刃物の切味はどうかといった細部まで確認が求められることである.従って,CSSDでは2次元シンボル (DPM)を使い,一つ一つコードを読込ませて管理をおこなうことが可能で時間的制約はそれほど厳しくないが,オペ室ではそのような余裕はない.また,オペ室内でのカウントはスピードと共に正確さも要求されるため,何らかの形でクロスチェックがおこなわれることが望ましい.そこで当社では,貸出器械や特殊器械セット管理システム用として使用の目途が立っているAI画像センサを応用し,オペ室内での器械カウントにもAIを適用できるかどうか基礎研究を開始することにした.【方法】AIを使ってオペ室で器械カウントする際,ポイントはいくつかある.例えば,剪刀や鉗子の直型と曲がりをどう見分けるかである.AIは基本的に2次元画像で判断するため,直型と曲がりは判別しにくい.高低差を測定して3次元情報も含めて判別する手段はあるが,多数の器械へ一括して適用となると計算量が多くなり,まだ実用化には厳しい.オペ室での器械カウント自動化の実現には,このような問題を一つ一つクリアしてく必要がある.【結語】オペ室内の器械カウント自動化は,CSSDよりも時間的・空間的に制約条件が厳しく実現は容易ではない.しかし技術は日々進歩しており,実践評価を経た上で1~2年以内に実用化したいと考えている.