講演情報

[105]手術中のガーゼ・針・器械リアルタイムカウントAI 監視システムの研究開発

中野渡 寛之 (㈲東奥電気)
【背景】手術におけるガーゼ,針,器械のカウントは,患者安全を確保するための重要なプロセスである.しかし,現場は多忙な状況下で複数のスタッフが並行して作業をおこなうため,人的要因によるカウントミスが完全には避けられない.体内遺残は重大な医療事故につながり,患者の健康被害だけでなく医療機関の信頼性にも影響を及ぼす.近年,AI 技術の進展により,手術室内の動的環境をリアルタイムに解析することが可能となりつつある.本研究では,小型AI カメラを用いて手術中のガーゼ,針,器械の自動カウントをおこなうシステムの開発を試み,安全性向上とスタッフの負担軽減を目指す.
【目的】本研究の目的は,手術中の物品カウントをAI が自動的に監視し,カウント漏れや誤認識を低減することで,体内遺残の発生リスクを最小化することである.従来の手作業によるカウントプロセスを補完し,手術チームの認知負荷を軽減する実用的な支援システムの構築を目指す.
【方法】手術室に設置することを想定した小型AI カメラ映像から,ガーゼ,針,器械をリアルタイムで識別・追跡する.学習データには模擬実験環境で撮影した画像を用い,器械は重なり度合いの影響も評価した.検出結果を時系列で統合し,手術開始から終了後まで,ほぼリアルタイムでカウント情報のログを残すことで,オペ看護師が物品を見失った場合でも早期に把握できるプロトタイプを構築した.
【まとめ】小型AI カメラを用いたリアルタイムカウント監視システムは,手術中の物品管理におけるヒューマンエラーを補完し,体内遺残防止に寄与し得ることを示した.一方で,ガーゼ・針・器械のいずれについても高精度な検知には依然として課題が残る.今後は,現場から要請の高い領域から段階的に取り組みを進め,実臨床データを用いた精度検証,手術室ワークフローとの統合,医療スタッフとの協働評価を重ねながら,実用化に向けた改良を進めていく予定である.