講演情報

[106]鉗子選択行動に対するカラーマーカーの効果第3報:臨床模擬環境での検証

山内 康司1, 松本 綾奈1, 金井 しのぶ2 (1.東洋大学大学院生命科学研究科生体医工学専攻, 2.㈱マイステック)
【背景】我々は鋼製小物にカラーマーカーを付与することによる,器械出し看護師の鉗子選択行動への影響について検証しており,鉗子選択時間を有意に短縮できることを明らかにしている.
しかしながら実験環境をより臨床に近づけることが課題となっており,対象器械や被験者層を拡大した詳細な検討が必要である.
【目的】カラーマーカー付きの鋼製小物を用い,臨床に近い環境下で非医療従事者および看護師の鉗子選択行動に与える影響を明らかにすることとした.
【方法】被験者は非医療系学生12 名および器械出し看護師2名である.実験器械には㈲興之宮医科工業製の「色しっぽ鉗子」であるカラーマーカー付きの鋭匙鉗子とケリソンパンチ(各3サイズ)を用いた.照明および器械台の高さを実環境に合わせ,タスクに関係しない器具やガーゼ等も混在させた環境で実施した.条件は「番号(サイズ)指示・色あり」「番号指示・色なし」「色名指示・色あり」の3種とし,各36 回のタスク映像から,指示終了から指定鉗子を手に取るまでの「鉗子選択時間」を計測・解析した.なお色なし条件においてはカラーマーカー部を覆いで隠して提示した.
【結果および結論】非医療従事者において「色名指示・色あり」条件の鉗子選択時間が最も有意に短かった(p< 0.05).看護師においても同様に「色名指示・色あり」条件の鉗子選択時間が最も短かった.
看護師は学生よりも全体的な選択時間が短く熟練度の影響が見られたが,カラーマーカーによる短縮効果の傾向は両群で共通していた.被験者アンケートでは,照明の反射や器械の劣化により視認しにくい印字(数字)に対し,色が有力な識別手がかりになる利点が指摘された.以上より,実際の製品においてもカラーマーカーを付与し,かつ色名で指示をおこなうことは,迅速かつ正確な器械受け渡しを支援し,医療安全に寄与すると考えられる.