講演情報

[31]鋼製小物UDI(個体識別)管理の基本はドットピン刻印から

中野渡 寛之 (㈲東奥電気)
【背景】多くの医療機関では鋼製小物の管理が十分に体系化されておらず,購入年月の把握すら困難な状況が続いている.再使用器具であるにもかかわらず,使用履歴・保守状況・劣化傾向を追跡できないことは,医療安全や品質保証の観点から大きなリスクとなる.国際的にUDI(Unique Device Identification)制度が普及しつつあるが,現場で「UDI を付与する」ことが最も重要である.しかし,レーザマーキングは設備費や操作難度が高く,IC チップは取付けの課題があり,現実的な選択肢になりにくいため,弊社では導入しやすく耐久性も確保できるドットピン方式を推している.
【目的】本稿では,鋼製小物のUDI 管理を立上げるための最初のステップとして「ドットピン方式による刻印」を基本と位置づけ,その意義と導入効果を整理する.特に,低コスト・省スペース・静粛性・簡便性・刻印耐久性の観点から,ドットピン方式が現場の実情に適した刻印手法である理由を明確化し,管理レベル向上のための実践的指針を提示する.
【方法】国内のガイドライン,鋼製小物メーカの刻印事例,医療機関での運用実績から,ドットピン方式の適用性を検討した.洗浄・滅菌工程における刻印の劣化,読み取り精度,刻印位置の最適化,作業者の操作負荷などを分析した.一通り刻印を終えると,紛失率,器具の取違え,棚卸し作業時間の変化等の評価が可能となり,UDI 管理導入の効果を体感できるようになる.
【まとめ】購入年月の管理すら困難な現場において,まず必要なのは「確実に識別できる刻印を付ける」という基盤整備である.ドットピン方式は,設備コストが低く,操作が容易で,鋼製小物に対して十分な耐久性を持つ刻印を実現できる点から,UDI 管理の立上げに最適な手法である.
UDI 管理は使用履歴の追跡,紛失防止,棚卸し効率化が可能となり,医療安全と業務標準化の向上につながる.最終的には電カル連携へ発展させることができる.