講演情報

[4]手術室における麻薬金庫管理システム導入による管理体制の改善

阿部 尚紀, 谷島 明秋 (愛媛大学医学部附属病院 手術部)
近年,手術室における麻薬・毒薬管理は,医療安全およびコンプライアンスの観点から,より厳密かつ効率的な運用が求められている.愛媛大学医学部附属病院手術室では,従来,金庫管理担当者がFileMaker を用いて独自に構築した管理システムを使用していた.しかし,担当者の異動に伴いシステムの維持・改修が困難となったほか,麻薬の持ち出し記録は取得者および使用薬剤トレイとの紐付けにとどまり,患者単位での管理が十分ではないという課題があった.これらの課題を解決するため,フジメディカル社が開発した麻薬金庫管理システムを新たに導入した.本システムでは,麻薬・毒薬の持ち出しおよび返却時に,患者の麻酔記録と情報が自動的に紐付けられる仕組みとなっている.返却時には,使用本数や残液量についてシステム上で厳密な確認が求められ,不整合がある場合にはその場で修正・確認が可能である.
本システム導入後,翌日に手術室薬剤師がおこなっていた疑義照会や使用量確認のための問い合わせは著明に減少した.これにより,麻薬管理に関わる人的負担が軽減されるとともに,記録の正確性およびトレーサビリティが大幅に向上した.また,患者単位での使用状況が明確化されたことで,医療安全および監査対応の面でも有用性が高いと考えられた.本報告は,麻薬金庫管理を電子化し,麻酔記録と連携させることが,手術室における麻薬・毒薬管理の質向上と業務効率化の両立に寄与することを示す一例であり,今後の手術室DX 推進において有用な取り組みであると考えられる.