講演情報

[41]医療手技における自動判定システム―ルアロックの締め忘れ防止―

伊藤 奈々1, 沖 雄二1, 古堅伝 羽早1, 武田 朴2 (1.帝京大学 福岡医療技術学部, 2.東京工科大学)
医療従事者を目指す学生は,医療機器の組立や操作など実技を習得する必要がある.実技練習では,正しく実施されたかを評価者が確認し,誤りを即時に修正することが重要である.しかし,常に評価者が立ち会うことは人的資源の制約から困難であり,評価者がいなくても自由に練習できる評価方法が求められている.
本研究の目的は,画像認識を用いた血液透析回路プライミング自動判定システムを試作し,その判定結果を評価者による評価と比較することで,実技評価への有用性を検証することである.本システムは,医療機器操作トレーニング評価装置への展開を目的とした基礎検討である.システムは,カメラ,照明板,画像認識ソフトウェアで構成され,ダイアライザの接続状態をルアロックナット先端と血液回路のオスロック後縁の距離で判定する.
対象は動・静脈側2箇所とした.判定基準は,臨床工学技士の資格を持ち臨床経験のある熟練者の締め込み状態を測定し14mm 以下であったので14mm を基準にした.対象は,生体機能代行技術学の講義と実習を修了し,本研究に同意した4年生の学生21 名とした.対象者にプライミングを実施させ,計42 箇所の接続部についてシステムによる判定と評価者による判定をおこなった.システム判定ではOK33箇所,NG 9箇所,評価者判定ではOK31 箇所,NG11 箇所であり,不一致は2箇所であった.システムはOK 判定の見逃しは無く,感度100%であり,NG をOK と判定する例が2例あり,特異度81.8%であった.不一致の2例はいずれも1mm 未満の誤差であった.
本システムは血液透析回路の接続状態を客観的かつリアルタイムに評価可能な手法として有用であることが示唆された.しかし,締め込み不足が18%発生しているため,これを防止するため今後は14mm 以上の場合はさらに締めるよう指導する.また,メーカ,ロット,型式などにより14mm が適当でない場合があるため,それぞれに適切な値を検討する必要がある.