講演情報

[42]口腔ケアにおけるVR の一人称視点と2D の俯瞰視点の比較-技術の質と清掃度への影響-

秋永 和之1, 吉田 あや1, 内田 荘平1, 晴佐久 悟1, 南 レイラ2, 石井 綾子2 (1.福岡看護大学 健康支援看護部門 成人看護学分野, 2.福岡医療短期大学)
【目的】看護教育における口腔ケア指導は,術者の死角や手元の細かな動きを伝えにくい課題がある.本研究では,一人称視点による没入体験が可能なVR 動画教材と,全体を俯瞰する2D 動画教材を用い,看護学生の技術習得効果を客観的指標により比較・検証することを目的とした.
【方法】看護学生50 名(2D 群:25 名,VR 群:25 名)を対象とした.各群にそれぞれの動画を視聴させた後,人工プラークを塗布した顎模型の清掃演習を実施した.評価指標として,顎模型の清掃状態(PHP およびPCR)と,演習中の手技を録画した動画による行動評価を用いた.行動評価は共同研究者3名が独立して採点し,評価者間一致度はカッパ係数0.78(p < 0.01)と高い信頼性を得た.
【結果】視聴前後の比較では,両群とも有意差は認められなかったが,PHP スコアは低下(改善)傾向を示した.視聴後の2群間比較の結果,歯の表裏面である「平滑面」のPHP スコアにおいて,2D 群がVR 群より有意に低値(清掃性が良好)であった(p=0.03).一方,歯と歯の隙間である「隣接面」は両群ともに磨き残しが多く,有意差は見られなかった.しかし,行動評価(手技の質)においては,VR 群が2D 群に対し有意に高得点(p < 0.01)であり,細かなブラッシング操作や適切な支持の取り方において優れていた.
【考察・結論】2D 動画は俯瞰視点により「清掃場所」を把握させることに長けており,広い面積(平滑面)の磨き残し防止に寄与したと考えられる.一方,VR 動画は一人称視点により「精緻な技術(質)」の模倣を促進する効果が高いことが示された.
以上より,全体の場所を把握する2D と,技術を深化させるVR の特性を組み合わせ,動画では補いきれない隣接面の操作を実地演習で補完するハイブリッド型教育モデルの構築が有効であると示唆された.