講演情報

[45]医工連携発「光るガーゼ」の開発から臨床応用,そして上市に向けて

田代 良彦1, 青木 武士1, 渡邊 良平1, 伊達 博三1, 冨岡 幸大1, 松田 和広1, 柴田 英貴1, 山崎 公靖1, 渡辺 誠1, 安永 秀計2, 安藤 慎治3 (1.昭和医科大学外科学講座消化器一般外科学部門, 2.京都工芸繊維大学繊維学系, 3.東京科学大学物質理工学院応用化学系)
【諸言】ガーゼは外科手術に不可欠である一方,その使用頻度の高さから,ガーゼ紛失に伴うヒヤリハットは依然として多く報告されており,現在においてもガーゼ遺残は完全には回避できていない.近年,多くの外科領域においてインドシアニングリーン(indocyanine green:ICG)を用いた蛍光ガイド手術が普及している.本研究では,ガーゼ遺残予防という医療安全への貢献に加え,術中ナビゲーションとしての活用を目的として,「医学」と「工学」の医工連携により開発されたICG 蛍光ガーゼの開発から臨床応用までの現状について報告する.
【方法】ICG ガーゼ染色法の新規開発,蛍光強度分析,臨床使用の3工程を3大学の医工連携により実施した.倫理委員会の承認を得たうえで,2024年5月から2026 年1月までに術中にICG 蛍光ガーゼの利用を企図した74 症例のうち,実際に使用した低侵襲消化器外科手術59 例が対象.
【結果】術式は胃切除7例,大腸切除48 例,肝切除2例,膵切除2例であった.ICG 蛍光ガーゼはロボットを含め全6種類の内視鏡システムにおいて十分な蛍光強度を示し,臨床使用に耐えうる堅牢性も確認された.59 例中35 例で,通常光では同定困難であったガーゼが蛍光観察により同定可能となり,手術の進行方向をガイドするデバイスとしての有用性を示した.また,蛍光ガーゼは菲薄化した組織を透見可能とすることから,最適で安全な進行ルートのナビゲーションにも寄与する可能性が示された.さらに,1症例でガーゼを腹腔内で見失ったが,蛍光観察により速やかに発見が可能であり,ガーゼの紛失時の探索時間短縮および遺残防止に有効であることを経験した.
【結語】ICG 蛍光ガーゼは術中の進行方向を確実にガイドすることで手術時間の短縮と安全性向上に寄与し,さらにガーゼ遺残予防という医療安全の観点からも有用な新規デバイスであると考えられた.現在,本デバイスの上市に向け,企業との連携による基盤構築を進めている.