講演情報

[48]鉗子型Positron Emission Counter(PEC)への画像化機能の追加:シミュレーション研究

大橋 遼太郎1,2, 田久 創大1, 高橋 美和子1, 山谷 泰賀1, 伊藤 繁記3 (1.量子科学技術研究開発機構, 2.千葉大学大学院融合理工学府, 3.未来イメージング㈱)
【目的】食道癌の外科治療では三領域リンパ節郭清がおこなわれるが,郭清されたリンパ節に転移があるとは限らず,約90%は転移が認められなかったとの報告もある.術中にリンパ節転移の有無を評価できれば,根治性を維持したまま手術侵襲を低減できる可能性がある.我々は,FDG-PET の測定原理を術中リンパ節評価に応用した鉗子型PEC(Positron EmissionCounter)を開発してきた.本装置は腹腔鏡用鉗子の先端に一対の超小型放射線検出器を搭載し,リンパ節を把持した状態で同時計数法によりFDG 集積量を定量化する.しかし,検出感度は視野中心で最大となり,周辺部で低下するため,線源位置に依存した計測値の変動が課題であった.本研究では,画像再構成に基づく線源位置推定法を導入し,位置補正による定量精度向上を検討した.
【方法】2×2配列のBGO 結晶から成る位置弁別型検出器を設計し,シミュレーションモデルを作成した.取得した同時計数データに対し,正則化項を付加した最小二乗法による画像再構成を適用し,再構成画像の重心位置から線源位置を推定した.シミュレーションでは,視野内の任意位置に1kBq の18F 点線源を配置し30 秒間測定した後,再構成画像から線源位置を推定した.続いて,推定位置に基づき線源を視野中心へ誘導し,再測定をおこなった.この手順を繰り返し,再構成画像に基づく線源位置推定精度,および位置補正前後における同時計数率の変動係数を評価した.
【結果】線源位置の推定精度は約0.8mm であった.
位置補正前の同時計数率の変動係数は約50%と顕著であったが,位置誘導後には約10%まで低減した.
【結論】画像再構成に基づく線源位置推定法は,鉗子型PEC の定量精度を大幅に向上させることが示唆された.本手法は,術中リンパ節診断の臨床応用に向けた基盤技術として有用であると考えられる.今後は,臨床条件に近い分布を有する体積線源を用いた追加検証,および実機検証を進める予定である.