講演情報

[5]RFID を活用した診療行為起点医療物流DX の経営改善効果

溝口 泰樹1, 有松 直紀1, 小林 誠1, 伊手 静香1, 久保田 英雄2 (1.公益財団法人榊原記念財団附属榊原記念病院 監理部 材料管理課, 2.東京科学大学病院 材料部)
背景・目的】当院では2023 年9月まで,カルテ・医事・物流が分断された独自システムを運用しており,重複入力や紙運用に起因する材料実施入力漏れや原価把握の不正確さが経営上の課題であった.特に,診療行為と材料消費・会計情報が連動していないことにより,収益漏れや材料原価の可視化が困難であった.これらの課題解決を目的に,RFID を活用した診療行為起点の医療物流DX を構築し,その経営的効果を検証した.
【方法】2023 年10 月より,電子カルテ(富士通HX),物流管理(サン・システム)に,帝人フロンティアのRFID 技術を組み合わせたシステムを構築しSIer はインテックで導入した.RFID またはQR コードを用い,診療行為の実施入力と同時に物流消費および医事会計登録をおこなう仕組みとした.これにより,材料の個体単位でのトレーサビリティ確保,実施入力漏れの早期検知を実現した.また,手術オーダー連携による術式セット供給,払出・返却・棚卸のRFID 読込も可能とした.
【結果】稼働開始から2025 年12 月まで,医療材料の実施入力累計56 万件は,RFID またはQR読取1回でカルテ実施,物流消費,医事会計登録が完結した.また,償還材料の実施入力漏れを4,900 件検知・修正し,金額換算で1.6 億円の収益改善効果が得られた.さらに,トレーサビリティ情報(UDI)の実施データ紐付け率は98%,患者別材料原価取得率94%を実現した.
その他,償還改定影響の定量評価,価格交渉根拠の明確化など,データに基づく経営判断が可能となった.
【結論・今後の展望】RFID を用いた診療行為起点の医療物流DXは,収益漏れ防止と原価管理高度化を通じて経営改善に大きく寄与した.今後はRFID 活用範囲の拡大による業務効率化,分析業務の標準化とツール化,AI を用いた他施設比較や課題抽出,院外センター活用によるコスト構造最適化を進め,持続可能な病院経営への貢献を目指す.