講演情報

[54]医用テレメータにおける電波調査と電波管理体制構築の取り組み

佐藤 大祐1, 古謝 侑奈1, 平方 希三生1, 野田 稔1, 市山 智義1, 田中 淳1, 山下 佳雄1,2, 福光 祐宜3 (1.佐賀大学医学部附属病院 ME センター, 2.佐賀大学医学部附属病院 歯科口腔外科学講座, 3.日本光電工業㈱)
【背景】近年,医療機関における無線機器の導入が急速に進み,電波環境の管理体制の重要性は一層高まっている.高市元総務大臣による問題提起を契機に,総務省や電波環境協議会からの情報発信が活発化し,2016 年には「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」が策定された.また,病院機能評価では2023 年より「機能種別版評価項目3rdG:Ver. 3.0」が運用され,医用テレメータの適切な保守・点検が求められている.しかし,電波環境の定量的点検は実施体制が整っていない施設も多く,当院でも十分に取り組めていなかった.そこで今回,電波環境の把握と管理体制強化を目的に,メーカへ電波調査を依頼し,自施設での点検実施に向けた運用方法の指導を受けたので報告する.
【方法】メーカ技術者による院内電波調査に臨床工学技士が帯同し,医用テレメータの使用周波数帯における電界強度測定,スペクトラム解析,混信要因の抽出をおこなった.病棟を中心に日勤帯の電波環境を評価し,院内無線LAN や業務用無線機器との干渉可能性を確認した.また,測定手順,機器設定,データ解釈など,院内で継続的に調査をおこなうための指導を受けた.
【結果】調査の結果,複数箇所で受信電界強度が基準値を下回るエリアが確認された.原因として,院内構造上の制約により同軸アンテナを等間隔に設置できず,電波分布に偏りが生じていたことが判明した.そこで,電界強度の強いアンテナ系統に減衰器を追加し全体の出力レベルを調整したところ,基準値を下回るエリアの受信電界強度が改善した.
【結論】医用テレメータの通信品質はアンテナ配置や院内電波環境によって大きな影響を受けることが判明した.定期的な電波調査と適切な電波管理体制の構築は医療安全の確保に重要であり,今後は自施設での継続的な点検体制の確立を進める必要がある.