講演情報

[64]植込み型ペースメーカの磁気センサ位置推定とマグネットレスポンスの閾値評価

川邉 学1, 本塚 旭1, 加納 隆2 (1.埼玉医科大学, 2.滋慶医療科学大学大学院医療管理学研究科)
【背景】植込み型ペースメーカ(以下PM)のマグネットレスポンスは,電池残量の確認や緊急時の固定レートペーシングなどに利用されている.近年,ゲーム機やタブレット端末など磁石を内蔵する機器が身の回りに増加しており,意図しないマグネットレスポンス作動のリスクが報告されている.このため一般に,PM と磁石との距離として約15cm 以上の離隔が推奨されている.
【目的】ペースメーカ(PM)のマグネットレスポンスについて,各機種における内蔵磁気センサ位置を推定するとともに,作動する磁束密度を定量的に評価し,その閾値(最小磁束密度)を明らかにすることを目的とした.
【方法】3社のPM 計6機種を対象とし,直径1.5mm,長さ35mm の円柱状磁石を用いて評価した.
磁石N 極面からの距離z と磁束密度B の関係を測定し,距離から磁束密度を推定する換算式を導出した.次に,磁石をPM 表面上で走査し,A/D 変換器およびペーシング検出プログラムを用いてマグネットレスポンスの有無を記録した.PM 刻印面から距離2mm の平面上において5mm 格子点で応答を観察し,反応が認められた領域では2mm 格子点で再測定をおこない,磁気センサの位置を推定した.さらに,同格子点において磁石を200μm 間隔で段階的に接近させ,マグネットレスポンスが作動した距離から磁束密度を算出し,その最小値を最小磁束密度として求めた.
【結果】距離と磁束密度の換算式はB[mT]= 189.0/(z[mm]+0.85)^2.06 であった.6機種すべてでマグネットレスポンスが確認され,全機種において磁気センサ位置の推定が可能であった.
センサ位置は機種ごとに異なり,最小磁束密度は3.4 ~ 6.2mT の範囲に分布した.
【結論】マグネットレスポンスが作動する最小磁束密度には機種間差が認められたが,いずれも10mT を超えることはなかった.本結果は,患者指導や意図しない作動への注意喚起,安全管理方策の検討に有用であると考えられる.