講演情報

[81]加熱過程における蛋白質溶液の粘度急変温度と濃度依存性

藤田 敏 (クリーンケミカル㈱ 技術開発部)
【背景】前回本大会において,羊血液3種(全血液・血漿・血球)の温度による粘度変化について報告し,血液種により粘度変化停止温度と粘度急変温度が異なることを報告した.羊血液3種は水分量や蛋白質濃度が異なるため,血液成分濃度が粘度に影響を与えている可能性が考えられた.
【目的】濃度の異なる3種の牛血清アルブミン溶液について,温度毎の粘度を測定し,粘度急変温度と濃度依存性について調査をおこなった.
【方法】生理食塩水を用いて牛血清アルブミン濃度15, 10, 6wt%を調製し,B 型粘度計(Brookfield社製DV2T)にて温度を25℃から段階的に上げながら粘度を測定した.
【結果】各濃度の温度変化停止温度は,56℃(15wt%),56℃(10wt%),62℃(6wt%)であった.また,急激に粘度が上昇した温度は,62℃(15wt%),64℃(10wt%),69℃(6wt%)であった.蛋白質濃度が濃いほど,温度変化停止温度と粘度急変温度が低くなることが判った.
【考察】血液を含む蛋白質溶液の温度による粘度の急激な変化は,蛋白質の熱変性によるものと推測され,今回の調査で蛋白質濃度が影響することが判った.これは,蛋白質濃度が濃いほど,熱変性によって構造変化した蛋白質同士の立体障害が大きくなるためと推測される.
【結論】蛋白質溶液の粘度変化は濃度依存性があることが判った.よって,RMD に付着した血液中の蛋白質濃度によって,熱変性温度が異なる可能性が示唆される.