講演情報
[98]ホルムアルデヒドと過酸化水素の細胞毒性
岩澤 篤郎1, 今村 茂義2 (1.東京医療保健大学大学院, 2.小川医理器㈱)
過酸化水素ガスプラズマ滅菌,過酸化水素ガス滅菌,低温蒸気ホルムアルデヒド滅菌が,再使用可能医療機器(RMD)に対して汎用されている.その滅菌保障に関しては十分に検討がされているものの,RMD に付着あるいは残留している可能性がある過酸化水素やホルムアルデヒドに対する残留毒性の検討はあまり見当たらない.今回,in vitro での安全性試験に汎用されている培養細胞を用い,過酸化水素とホルムアルデヒドに対する毒性試験を実施したので報告する.培養細胞は,FRSK 細胞(ラット胎児皮膚由来),SIRC 細胞(ウサギ角膜由来),Chang Conjunctiva 細胞(ヒト結膜由来)等を使用し,定法に従い培養した.細胞毒性試験は,MTT 法にて実施した.まず,96 well plate に各種細胞を2× 104cell/well になるように接種培養した.2日後,過酸化水素(30%,富士フイルム和光)とホルムアルデヒド液(36.0 ~38.0%,和光純薬)を用い純水で希釈後,所定のwell に10μl 添加した.さらに2日培養後,MTT 試薬の添加により生成されたMTT ホルマザンを溶解,570 ~ 630nm の吸光度を測定した.使用した3種類の培養細胞に対して,ホルムアルデヒドは0.05%以上,過酸化水素も0.05%以上で顕著な障害が認められた.細胞毒性の消失は,ホルムアルデヒド0.001%以下,過酸化水素は0.01%以下であった.医療現場における滅菌保障のガイドライン2021 では,滅菌物に付着しているホルムアルデヒド残留量を計測することが望ましいとの記載があるが過酸化水素に関しての記載はない.今後,このデータをもとに,培養細胞を用いた代替試験系の確立に向けて検討を進める予定である.
