講演情報
[EL5-1]ロボット支援手術の安全な運用に向けて技術の立場から
鎮西 清行 (国立研究開発法人産業総合技術研究所 健康医工学研究部門)
手術支援ロボットの利用は拡大し,同時に現場での安全な利用に関する知識,ノウハウも蓄積しつつある.一方,外科医はメーカが想定しない創造的な使い方を編み出してきた.ロボット支援手術はロボットを含む複数の機器,医師だけでない様々なスタッフの分業によって安全を達成している.手術支援ロボットの安全規格に関わってきた立場から,メーカが安全のために対策していること,現場での対応が期待されていることを再確認したい.
国際規格IEC 80601-2-77は多くの国・地域で手術支援ロボットが適合すべき強制規格となっている.同規格は,手術支援ロボットを開発し製造販売する企業が用いることを意図しているので,普段は医療関係者が目にすることはない.では,この規格が企業に求めていること,求めていないこと,企業からユーザに情報提供することでユーザが適切に使用することを期待していることを見てみよう.
規格が要求する企業がやるべきは,機械や電気,ロボットを構成する材料について専門家でない医療スタッフが扱っても安全にすることである.手術支援ロボットの場合,例えば電気メス(電気手術器)に起因する意図しない部位での熱傷がある.そのリスクを低減するため,電極を含む出力部は直流的には絶縁されており,また短絡や断線を検知する機能などを有する.電気メス単体で用いる場合はこれらが十分機能する.ところが手術支援ロボット,別の電気メスとともに併用すると,メーカが想定していなかった問題が表面化する.日本の外科医の創意工夫で編み出されたダブルバイポーラは,始まった当初は専用製品がなかった.そこで手術支援ロボットに内臓の電気メスの他にもう一台の電気メスを追加されて使われていた.この使い方はメーカでは想定していない.
2台の電気メスは機能接続されていないので,同時に発火することができる.するとお互いの短絡・断線検知機能が誤作動して結果として出力が停止することがありうる.「知ってる人がわかっている」の状態だったと思われる.メーカの立場は明確で,手術支援ロボットの取扱説明書ではやってはならないこととなっていた.最終的にはダブルバイポーラをモードとして含む電気メスが登場して解決した.
ここで揚げた以外に,臨床現場での運用に依存する事項としては,ロボット手術器具の洗浄・滅菌があり,その重要性,奥深さ,難しさはよく認識されている.現状は日本医療機器学会をはじめ現場の尽力によっているところ,本質的な解決に向けて技術革新への投資が必要と考える.
国際規格IEC 80601-2-77は多くの国・地域で手術支援ロボットが適合すべき強制規格となっている.同規格は,手術支援ロボットを開発し製造販売する企業が用いることを意図しているので,普段は医療関係者が目にすることはない.では,この規格が企業に求めていること,求めていないこと,企業からユーザに情報提供することでユーザが適切に使用することを期待していることを見てみよう.
規格が要求する企業がやるべきは,機械や電気,ロボットを構成する材料について専門家でない医療スタッフが扱っても安全にすることである.手術支援ロボットの場合,例えば電気メス(電気手術器)に起因する意図しない部位での熱傷がある.そのリスクを低減するため,電極を含む出力部は直流的には絶縁されており,また短絡や断線を検知する機能などを有する.電気メス単体で用いる場合はこれらが十分機能する.ところが手術支援ロボット,別の電気メスとともに併用すると,メーカが想定していなかった問題が表面化する.日本の外科医の創意工夫で編み出されたダブルバイポーラは,始まった当初は専用製品がなかった.そこで手術支援ロボットに内臓の電気メスの他にもう一台の電気メスを追加されて使われていた.この使い方はメーカでは想定していない.
2台の電気メスは機能接続されていないので,同時に発火することができる.するとお互いの短絡・断線検知機能が誤作動して結果として出力が停止することがありうる.「知ってる人がわかっている」の状態だったと思われる.メーカの立場は明確で,手術支援ロボットの取扱説明書ではやってはならないこととなっていた.最終的にはダブルバイポーラをモードとして含む電気メスが登場して解決した.
ここで揚げた以外に,臨床現場での運用に依存する事項としては,ロボット手術器具の洗浄・滅菌があり,その重要性,奥深さ,難しさはよく認識されている.現状は日本医療機器学会をはじめ現場の尽力によっているところ,本質的な解決に向けて技術革新への投資が必要と考える.
