講演情報

[GL2-1]令和8年度診療報酬改定を踏まえ 急性期病院を取り巻く現状とこれから

井上 貴裕1,2 (1.千葉大学医学部附属病院, 2.ちば医経塾)
令和8年度診療報酬改定は本体が3.09%のプラス改定となり,30年ぶりの高水準であり物価高騰等で苦戦する病院に一定の配慮をして下さいました.しかしながら,急性期,特に高度急性期病院の財務状況は極めて厳しく,この改定率をもってしても収支状況の安定にはほど遠いという医療機関も存在するものと予想します.材料費比率の上昇,水道光熱費の高騰に加え,働き方改革で人件費も増加する3重苦の状況に急性期病院は置かれていると言っても過言ではありません.このような中で,患者数がコロナ前の水準に至らないケースも多く,資金繰りに窮するなど過去にない厳しさに直面しています.
診療報酬改定では,手術施設等の集約化を図るべく,機能分化と連携が支柱に据えられた内容が前面に押し出され,このことが地域医療に与える影響は甚大であると予想します.救急車搬送と全身麻酔手術に取り組む病院こそが急性期らしいことは時代を問わない不変の真理ですが,その診療実績こそが評価されることとなり,これは新たな地域医療構想との整合性を意識したものとも言えるでしょう.一方で包括期機能を担う地域包括医療病棟に対する重点的な評価がおこなわれ,今後,出来高の急性期病院,あるいはDPC対象病院の一定割合が移行していくことが予想されます.
さらに,高度急性期病院におけるロボット手術の評価の評価がおこなわれ,年間症例数に応じた加算がおこなわれ,さらに地域医療体制確保加算2や外科医療確保特別加算の新設により,ハイボリュームセンターへの集約化がおこなわれようとしています.人口当たりの内視鏡手術支援機器の台数については地域差がありますが,保有状況に及ぼす影響もあるかもしれません.
本講演では,急性期病院を取り巻く環境についてデータを基に明らかにし,医療機器に関連する皆様に対して今後のあり方についての議論の素材を提供したいと思います.