講演情報
[GL6-1]吸収分光法と数値流体力学(CFD)を用いた、医療機器の内腔内の蒸気量の評価
Experimental and numerical determination of the steam amount inside long, fine cavities using absorption spectroscopy and computational fluid dynamics
Pletzer Simon (Graz University of Technology, Institute of Thermal Engineering)
医療機器の蒸気滅菌プロセスにおける重要な工程の一つは,滅菌器のチャンバー内から非凝縮性ガス(NCGs),主に空気を完全に除去することである.
滅菌器のチャンバーは容積が大きくアクセスも容易であるため,NCGsを効果的に除去することは可能であるが,医療機器内部の長く細いルーメン(内腔)からNCGsを除去することは医療機器の滅菌において大きな課題となる.この課題は,近年医療機器がますます複雑化し,長さ1メートル,直径1mm未満の内部チャネルを有するものが増えていることにより,さらに深刻化している.
NCGsの存在は,いくつかの機構を通じて滅菌性能に悪影響を及ぼす.第一に,NCGsは蒸気と機器表面との直接接触を妨げ,その結果,熱伝達率を低下させる.第二に,NCGsはルーメン内への蒸気浸透に直接的な影響を与える.蒸気が狭いルーメンに入り,より低温の内部表面に接触すると凝縮するが,NCGsは気相のまま残り,圧力の上昇に伴ってさらに奥へと押し込まれる.この過程により,特にルーメンのデッドエンド部分ににNCGsが徐々に蓄積し,蒸気の浸透が次第に制限される.
蒸気滅菌の有効性は,微生物タンパク質の凝固に依存しており,これは主要な不活化機構であり,凝縮蒸気によって供給される熱と水分の両方を必要とする.滅菌効果を減少させてしまう,NCGsの閾値濃度は明らかになっていないため,滅菌プロセスでは,機器のルーメン内部も含め,可能な限り100%に近い蒸気環境を維持することが望ましい.
機器内部空間への蒸気浸透は,通常,プロセスチャレンジデバイス(PCD)内に設置されたケミカルインジケータ(CI)ストリップによって評価される.これらのストリップは,温度,時間,水分などの主要な滅菌パラメータに応じて色が変化する.しかし,CIの性能はメーカによって大きく異なる可能性があることが報告されており,信頼性に影響を与える可能性がある.さらに,CIは滅菌器を開けた後,すなわち滅菌プロセス終了時の情報しか提供しない.そのため,蒸気浸透過程を定量的かつ時間分解的に解析するには適していない.
そのため時間分解的データは,ルーメン内への蒸気浸透の基礎的理解を深めるために不可欠である.この蒸気浸透過程の定量的,滅菌工程での継続的な評価は,滅菌サイクルおよび医療機器設計・デザインを改善するために重要である.
このため,実際の蒸気滅菌サイクル中にさまざまな形状への蒸気浸透を調査し,その改善策を評価するために,実験手法と数値計算モデルを組み合わせた研究がおこなわれた.この文脈において,数値モデルは重要な役割を果たす.実験測定は限られた測定位置でしか実施できないため,対象領域全体に関する情報を得ることはできない.また,医療機器の複雑さによっては,温度センサや光学的手法などを用いた直接測定が,機器形状を変更(例:アクセス孔の穿孔)しない限り不可能な内部領域も存在する.
本学会では,これまでの研究の結果とともに実験手法および数値手法と,それらによって得られた知見の概要を発表する.
滅菌器のチャンバーは容積が大きくアクセスも容易であるため,NCGsを効果的に除去することは可能であるが,医療機器内部の長く細いルーメン(内腔)からNCGsを除去することは医療機器の滅菌において大きな課題となる.この課題は,近年医療機器がますます複雑化し,長さ1メートル,直径1mm未満の内部チャネルを有するものが増えていることにより,さらに深刻化している.
NCGsの存在は,いくつかの機構を通じて滅菌性能に悪影響を及ぼす.第一に,NCGsは蒸気と機器表面との直接接触を妨げ,その結果,熱伝達率を低下させる.第二に,NCGsはルーメン内への蒸気浸透に直接的な影響を与える.蒸気が狭いルーメンに入り,より低温の内部表面に接触すると凝縮するが,NCGsは気相のまま残り,圧力の上昇に伴ってさらに奥へと押し込まれる.この過程により,特にルーメンのデッドエンド部分ににNCGsが徐々に蓄積し,蒸気の浸透が次第に制限される.
蒸気滅菌の有効性は,微生物タンパク質の凝固に依存しており,これは主要な不活化機構であり,凝縮蒸気によって供給される熱と水分の両方を必要とする.滅菌効果を減少させてしまう,NCGsの閾値濃度は明らかになっていないため,滅菌プロセスでは,機器のルーメン内部も含め,可能な限り100%に近い蒸気環境を維持することが望ましい.
機器内部空間への蒸気浸透は,通常,プロセスチャレンジデバイス(PCD)内に設置されたケミカルインジケータ(CI)ストリップによって評価される.これらのストリップは,温度,時間,水分などの主要な滅菌パラメータに応じて色が変化する.しかし,CIの性能はメーカによって大きく異なる可能性があることが報告されており,信頼性に影響を与える可能性がある.さらに,CIは滅菌器を開けた後,すなわち滅菌プロセス終了時の情報しか提供しない.そのため,蒸気浸透過程を定量的かつ時間分解的に解析するには適していない.
そのため時間分解的データは,ルーメン内への蒸気浸透の基礎的理解を深めるために不可欠である.この蒸気浸透過程の定量的,滅菌工程での継続的な評価は,滅菌サイクルおよび医療機器設計・デザインを改善するために重要である.
このため,実際の蒸気滅菌サイクル中にさまざまな形状への蒸気浸透を調査し,その改善策を評価するために,実験手法と数値計算モデルを組み合わせた研究がおこなわれた.この文脈において,数値モデルは重要な役割を果たす.実験測定は限られた測定位置でしか実施できないため,対象領域全体に関する情報を得ることはできない.また,医療機器の複雑さによっては,温度センサや光学的手法などを用いた直接測定が,機器形状を変更(例:アクセス孔の穿孔)しない限り不可能な内部領域も存在する.
本学会では,これまでの研究の結果とともに実験手法および数値手法と,それらによって得られた知見の概要を発表する.
