講演情報
[PP1-1]本質を見抜いて本気でやる― 医工学のマインドセット
山谷 泰賀 (国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部)
医療機器開発の主役は医師とメーカである.医療現場のニーズを的確に捉え,企業が自社の技術シーズをもとに課題を解決する.一方,アカデミア(医工学)の役割は何か.ひとつは医療機器産業を支える人材育成,もうひとつは企業では取り組みが困難な挑戦的研究の推進であろう.大学では研究活動そのものが人材育成を兼ねておこなわれる.一方,国の研究機関では,国の発展に不可欠でありながらも大学や企業では実施困難な研究テーマに特化して取り組むことが求められる.その一つが核医学診断分野における次世代PET装置開発研究である.本講演ではこれを例に,医工学研究者が持つべきマインドセットについて私見を述べる.
日本で使用されているPET装置の約9割は輸入品である.その背景には複数の要因があるが,ここでは割愛する.重要なのは,産業界の活力低下がアカデミアの研究力低下を招き,ひいては国全体の研究力の衰退につながる悪循環の存在である.一方,日本に勝ち筋がある分野として,ノーベル賞受賞につながった高エネルギ物理学を支えた光産業が挙げられる.実際,世界中のPET装置には日本製の基幹光学部品が広く用いられている.このような状況のもとQSTイメージング物理研究グループでは,日本の強みを活かし,独自のアイディアに基づく革新的な次世代PET装置の開発研究を進めている.
最大の課題は社会実装である.論文発表した研究成果を企業が製品化してくれる ― そのような夢物語はこの分野ではほとんど成立しない.こうした中で,世界初となる半球型頭部専用PET装置の製品化に至った背景には,医療ニーズの本質を見極め独自のアイディアを示すだけでなく,研究者自身が責任を持って実用化まで導く覚悟があった.研究者自身が本気で取り組まなければ,研究成果が患者に届くことはない.一方で,誤った方向に本気で取り組むことは,時間と資金の浪費にほかならない.「本質を見抜いて本気でやる」 ― これこそが,医工学において成果につながるマインドセットであろう.
日本で使用されているPET装置の約9割は輸入品である.その背景には複数の要因があるが,ここでは割愛する.重要なのは,産業界の活力低下がアカデミアの研究力低下を招き,ひいては国全体の研究力の衰退につながる悪循環の存在である.一方,日本に勝ち筋がある分野として,ノーベル賞受賞につながった高エネルギ物理学を支えた光産業が挙げられる.実際,世界中のPET装置には日本製の基幹光学部品が広く用いられている.このような状況のもとQSTイメージング物理研究グループでは,日本の強みを活かし,独自のアイディアに基づく革新的な次世代PET装置の開発研究を進めている.
最大の課題は社会実装である.論文発表した研究成果を企業が製品化してくれる ― そのような夢物語はこの分野ではほとんど成立しない.こうした中で,世界初となる半球型頭部専用PET装置の製品化に至った背景には,医療ニーズの本質を見極め独自のアイディアを示すだけでなく,研究者自身が責任を持って実用化まで導く覚悟があった.研究者自身が本気で取り組まなければ,研究成果が患者に届くことはない.一方で,誤った方向に本気で取り組むことは,時間と資金の浪費にほかならない.「本質を見抜いて本気でやる」 ― これこそが,医工学において成果につながるマインドセットであろう.
