講演情報
[SL3-1]骨伝導メカニズムの解明と福祉・医療・コミュニケーション機器への応用
中川 誠司 (千葉大学 フロンティア医工学センター)
骨伝導(骨導)は伝音性難聴の補聴に有効であり,従来より補聴器や聴力検査に利用されてきた.
また,近年は外耳孔を塞がない,(使い方によっては)騒音下でも聴取しやすい,水中でも利用可能といった長所を活かして,健聴者向けのオーディオ・デバイスへの応用も図られている.しかしながら,通常の聴覚(空気振動を介するために“気導”と呼ばれる)に比べると骨伝導の知覚メカニズムの理解は曖昧である.特に,音の周波数や呈示部位に依存して知覚特性が大きく変化する場合があるが,それらのメカニズムには不明な点が多く残されている.
我々はヒトを対象とした各種の非侵襲計測(神経生理計測,心理計測,生体振動計測,コンピュータ・シミュレーションなど)を用いて,骨導超音波や軟骨伝導といった新しいタイプの骨伝導知覚メカニズムの解明と,補聴器やスマートホン,乳幼児用イヤホン,さらにはマイクロホンや強大騒音下での音声コミュニケーション・デバイス等への応用に取り組んで来た.本稿ではこれらの研究の一部を概説する.
・骨導超音波知覚の解明と重度難聴者のための新型補聴機への応用
骨導で呈示された20kHz以上の高周波音を骨導超音波という.この骨導超音波は,聴覚健常者はもとより,重度感音性難聴者にも知覚される.また,振幅変調することで音声や周波数情報の伝達が可能である.我々は,この特異な現象に着目し,その知覚特性や伝搬メカニズム,および末梢~中枢の神経生理メカニズムの解明を進めるとともに,重度難聴者用の新型補聴器(骨導超音波補聴器)への応用に取り組んできた.
・遠位呈示骨導超音波のメカニズム解明と新型コミュニケーション・デバイスへの応用
骨伝導デバイスの課題の一つに,骨伝導振動子(骨伝導スピーカ)の装用方法の改善があげられる.一般に骨伝導振動子はある程度の圧力で側頭骨の乳様突起(耳の後ろの骨性隆起)に一定の圧力で押し付けて呈示されるが,長時間の装用に伴う痛みや安定した保持が難しい,見た目が悪いという問題があった.一方,骨導超音波は上肢,体幹などの頭部から離れた部位(遠位)に呈示した場合でも容易に知覚される.これらの部位は振動子の固定が容易であり,押付に伴う不快感も生じにくい.また,目立たない装用が可能であるため,従来の装用に係る諸問題の解決が期待される.我々は,この“遠位呈示”骨導超音波の知覚特性や伝搬メカニズムの解明をするとろもに,新型コミュニケーション・デバイスへの応用を進めている.
・様々な部位に呈示された骨伝導のメカニズム解明と各種デバイスへの応用
骨伝導の末梢伝搬経路は気導音よりも遥かに複雑で,大きく4つに分類できる.しかしながら,これらの各経路へのエネルギーの分配は,刺激呈示条件(部位,押付圧,接触面積等)に応じて如実に変化する.従来の骨伝導の呈示部位は側頭骨の乳様突起であるが,近年になって乳様突起以外の呈示部位を対象とした骨伝導デバイスも多く開発されている.我々は,下顎骨の顆状突起,耳介軟骨,顔面,頭皮などの多様な部位における伝搬特性,知覚特性を調べ,各種のデバイスへの応用を図っている.
・骨伝導音の音質改善を目指した検討
骨伝導音は頭部内を伝搬し,対側の蝸牛にも容易に到達する.このような頭部内におけるクロストーク現象は,骨伝導における両耳聴を制限する要因の一つとなっている.我々は,外耳道内音圧および頭部振動に基づくクロストーク・キャンセル手法を構築し,その実用性を明らかにした.また,3D頭部ファントムモデルを開発し,クロストーク特性の解明とクロストーク・キャンセル効果の検証をおこなっている.
また,近年は外耳孔を塞がない,(使い方によっては)騒音下でも聴取しやすい,水中でも利用可能といった長所を活かして,健聴者向けのオーディオ・デバイスへの応用も図られている.しかしながら,通常の聴覚(空気振動を介するために“気導”と呼ばれる)に比べると骨伝導の知覚メカニズムの理解は曖昧である.特に,音の周波数や呈示部位に依存して知覚特性が大きく変化する場合があるが,それらのメカニズムには不明な点が多く残されている.
我々はヒトを対象とした各種の非侵襲計測(神経生理計測,心理計測,生体振動計測,コンピュータ・シミュレーションなど)を用いて,骨導超音波や軟骨伝導といった新しいタイプの骨伝導知覚メカニズムの解明と,補聴器やスマートホン,乳幼児用イヤホン,さらにはマイクロホンや強大騒音下での音声コミュニケーション・デバイス等への応用に取り組んで来た.本稿ではこれらの研究の一部を概説する.
・骨導超音波知覚の解明と重度難聴者のための新型補聴機への応用
骨導で呈示された20kHz以上の高周波音を骨導超音波という.この骨導超音波は,聴覚健常者はもとより,重度感音性難聴者にも知覚される.また,振幅変調することで音声や周波数情報の伝達が可能である.我々は,この特異な現象に着目し,その知覚特性や伝搬メカニズム,および末梢~中枢の神経生理メカニズムの解明を進めるとともに,重度難聴者用の新型補聴器(骨導超音波補聴器)への応用に取り組んできた.
・遠位呈示骨導超音波のメカニズム解明と新型コミュニケーション・デバイスへの応用
骨伝導デバイスの課題の一つに,骨伝導振動子(骨伝導スピーカ)の装用方法の改善があげられる.一般に骨伝導振動子はある程度の圧力で側頭骨の乳様突起(耳の後ろの骨性隆起)に一定の圧力で押し付けて呈示されるが,長時間の装用に伴う痛みや安定した保持が難しい,見た目が悪いという問題があった.一方,骨導超音波は上肢,体幹などの頭部から離れた部位(遠位)に呈示した場合でも容易に知覚される.これらの部位は振動子の固定が容易であり,押付に伴う不快感も生じにくい.また,目立たない装用が可能であるため,従来の装用に係る諸問題の解決が期待される.我々は,この“遠位呈示”骨導超音波の知覚特性や伝搬メカニズムの解明をするとろもに,新型コミュニケーション・デバイスへの応用を進めている.
・様々な部位に呈示された骨伝導のメカニズム解明と各種デバイスへの応用
骨伝導の末梢伝搬経路は気導音よりも遥かに複雑で,大きく4つに分類できる.しかしながら,これらの各経路へのエネルギーの分配は,刺激呈示条件(部位,押付圧,接触面積等)に応じて如実に変化する.従来の骨伝導の呈示部位は側頭骨の乳様突起であるが,近年になって乳様突起以外の呈示部位を対象とした骨伝導デバイスも多く開発されている.我々は,下顎骨の顆状突起,耳介軟骨,顔面,頭皮などの多様な部位における伝搬特性,知覚特性を調べ,各種のデバイスへの応用を図っている.
・骨伝導音の音質改善を目指した検討
骨伝導音は頭部内を伝搬し,対側の蝸牛にも容易に到達する.このような頭部内におけるクロストーク現象は,骨伝導における両耳聴を制限する要因の一つとなっている.我々は,外耳道内音圧および頭部振動に基づくクロストーク・キャンセル手法を構築し,その実用性を明らかにした.また,3D頭部ファントムモデルを開発し,クロストーク特性の解明とクロストーク・キャンセル効果の検証をおこなっている.
