講演情報
[S3-01]ジストニアにより後弓反張姿勢を呈した重度四肢麻痺児
− 自己・外部環境の認知を促した症例報告 −
*春原 隆吉1 (1. 信濃医療福祉センター)
【目的】
早期乳児てんかん性脳症を発症,ジストニアにより後弓反張姿勢を呈した重度四肢麻痺の男児に自己・外部環境の認知を促し,症状を軽減する事ができた.本症例を通じ,ジストニアの介入方法発展の一助になればと考える.
【症例紹介】
1歳9ケ月男児.在胎約39週,出生体重2378g,正常分娩で出産.早期乳児てんかん性脳症と診断後,筋緊張が亢進,ジストニアにより常時後弓反張姿勢を呈する.眼球は常時右側へ偏位,左側を見る事は少ないが,見慣れた者の声掛けで注視, 安堵する場面もある.怒ると喃語を発する.GMFCSレベル5,姿勢変換は困難で四肢の意図的な動きは少ない.刺激に過敏で突然の音・接触に驚き,泣き,筋緊張を強め手指を握り込み,後弓反張姿勢が増悪する.外部情報に嫌悪感を抱いているが,口唇・体幹近位部は柔らかい触感・愛護的な接触で安心する.画像所見に右頭頂葉から後頭葉に形成不全を認める.
【病態解釈】
症例は右頭頂葉に形成不全を認め,異常感覚をきたしている.接触・姿勢変換に不快を感じ,逃避反応を示し,ジストニアの症状であるオーバーフロー現象により,不随意に体幹が伸展し,後弓反張姿勢が生じている事が考えられる.また異常感覚により皮膚感覚から身体・外部の認知が困難になっていると解釈した.
【治療戦略・介入方法】
新生児は外部・自己の接触により認知,相互作用する.受入の良い口唇・体幹近位部から自己・外部の認知を促した.腹臥位にて床面にタオルを敷き,セラピストの腰背部の接触により身体・外部を認知させる.口唇にて外部の能動的な探索を促し姿勢変化の学習を図る.後弓反張姿勢が軽減し,身体前面が床面に接地した事を身体・外部を認知したものとし,姿勢が10秒保持できるまでの時間を課題達成時間とした.介入は11回行い,初期・中期・終期に分け課題達成時間の平均を算出し効果を確認した.
【結果・考察】
初期731秒(±529.98),中間363秒(±133.41),終期270秒(±226.27)となり課題達成までの時間が短縮,刺激に対する過敏な反応も軽減した.介入毎に後弓反張姿勢が軽減,身体・外部と認知・相互作用し床面に対する姿勢制御を学習したと考えられる.後弓反張姿勢に対して認知戦略を利用した運動学習の介入は効果的である事が示唆される.
【倫理的配慮 説明と同意】
介入及び報告に関し,十分説明し,書面にて同意を得ている.
早期乳児てんかん性脳症を発症,ジストニアにより後弓反張姿勢を呈した重度四肢麻痺の男児に自己・外部環境の認知を促し,症状を軽減する事ができた.本症例を通じ,ジストニアの介入方法発展の一助になればと考える.
【症例紹介】
1歳9ケ月男児.在胎約39週,出生体重2378g,正常分娩で出産.早期乳児てんかん性脳症と診断後,筋緊張が亢進,ジストニアにより常時後弓反張姿勢を呈する.眼球は常時右側へ偏位,左側を見る事は少ないが,見慣れた者の声掛けで注視, 安堵する場面もある.怒ると喃語を発する.GMFCSレベル5,姿勢変換は困難で四肢の意図的な動きは少ない.刺激に過敏で突然の音・接触に驚き,泣き,筋緊張を強め手指を握り込み,後弓反張姿勢が増悪する.外部情報に嫌悪感を抱いているが,口唇・体幹近位部は柔らかい触感・愛護的な接触で安心する.画像所見に右頭頂葉から後頭葉に形成不全を認める.
【病態解釈】
症例は右頭頂葉に形成不全を認め,異常感覚をきたしている.接触・姿勢変換に不快を感じ,逃避反応を示し,ジストニアの症状であるオーバーフロー現象により,不随意に体幹が伸展し,後弓反張姿勢が生じている事が考えられる.また異常感覚により皮膚感覚から身体・外部の認知が困難になっていると解釈した.
【治療戦略・介入方法】
新生児は外部・自己の接触により認知,相互作用する.受入の良い口唇・体幹近位部から自己・外部の認知を促した.腹臥位にて床面にタオルを敷き,セラピストの腰背部の接触により身体・外部を認知させる.口唇にて外部の能動的な探索を促し姿勢変化の学習を図る.後弓反張姿勢が軽減し,身体前面が床面に接地した事を身体・外部を認知したものとし,姿勢が10秒保持できるまでの時間を課題達成時間とした.介入は11回行い,初期・中期・終期に分け課題達成時間の平均を算出し効果を確認した.
【結果・考察】
初期731秒(±529.98),中間363秒(±133.41),終期270秒(±226.27)となり課題達成までの時間が短縮,刺激に対する過敏な反応も軽減した.介入毎に後弓反張姿勢が軽減,身体・外部と認知・相互作用し床面に対する姿勢制御を学習したと考えられる.後弓反張姿勢に対して認知戦略を利用した運動学習の介入は効果的である事が示唆される.
【倫理的配慮 説明と同意】
介入及び報告に関し,十分説明し,書面にて同意を得ている.
閲覧にはパスワードが必要です
パスワードは参加登録した方へメール配布しております。