講演情報

[S3-04]脳性麻痺の女児に対してankle strategyに変化したことによる片脚立位・歩行の安定性が向上した症例

*干川 捷魁1、木村 絵梨1 (1. 北海道こども発達研究センター)
【はじめに】
今回,脳性麻痺による運動麻痺を呈した児童に対し,足部の圧・筋感覚分析課題から足部の弁別能力向上を求めた.結果足部でのバランス制御が向上したため報告する.

【症例紹介】
脳性麻痺と診断された11歳の女児.下肢痙性を呈し,GMFCSレベルⅠ.GMFM88:D項目:97.44%,E項目:93.06%で片脚立位に関わる項目にて減点を認めた.片脚立位は,左右ともに10秒以上の保持は可能だが,hip strategyにて制御している.また歩行時の立脚期にて頭頚部・体幹の左右への動揺を認めた.訓練中は繰り返し同じ動作を行い確認し,回答するまでに時間を要す場面が見られる。また視覚優位に位置関係を確認することが多い.

【病態解釈】
検査結果から片脚立位が可能に対し,立脚期における頭頚部・体幹の左右への動揺の原因として,足部の弁別能力の低下により,足部を柔軟に使用できずhip strategyにてバランス制御しているためと推察した.足底圧と足部の筋感覚イメージから上行性インパルスの処理速度の向上を目指すことでankle strategyにて制御が可能となり,立脚期の不安定性が改善すると考えた.

【治療介入】
週3-4回30分2か月程介入.①座位で多軸不安定板に足部を載せ水平を保持する.その後重錘を任意の場所に置き,重錘の位置を答えてもらう.その際に「どこに圧を感じるか、水平に保つためにどこに力が入るか」を問う足部の圧分析・筋感覚イメージ課題.②立位で一側に荷重し,足底のどの部分に荷重するかを分析し,左右での類似と差異を分析させる足底圧の左右比較課題.

【結果と考察】
GMFM88:D項目:100%,E項目:94.44%まで向上した.訓練では課題において,一度の確認で回答することが可能となり,左右間での足底圧の違い,「足の内側に力が入っているから,外側に倒れている」等の足部の筋感覚イメージが進んだ.結果左右の足部の柔軟性が向上し,ankle strategyにて片脚立位時の動揺が軽減し,意識下であれば立脚期における頭頚部・体幹の左右への動揺の軽減を認めた.本症例では,足部の体性感覚情報を処理・比較をすることで,足底圧感覚における弁別能力が向上したことで,片脚立位・歩行の立脚期の安定性が向上したと考えた.

【倫理的配慮(説明と同意)】
保護者にプライバシー保護について説明し同意を得た.

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