講演情報

[S6-03]マインドフルネス傾向と身体活動がもたらす腹部症状への影響

*小関 友記1,2 (1. 仙台青葉学院大学・短期大学リハビリテーション学科、2. 東北大学大学院医学系研究科心療内科学)
【はじめに】
近年、ヒトの認知や行動に対する脳腸相関からの報告がみられる。過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome: IBS)は腹痛や便通異常をきたす慢性機能的疾患であり、ストレスで発症し、うつや不安を合併する、脳腸相関病(disorders of gut-brain interaction; DGBI)の代表である。一方で運動は健康増進効果をもたらし、またマインドフルネスな精神状態は身体活動を促進させる。本研究ではIBSに着目し、腹部症状とマインドフルネス傾向、身体活動量の関係性を検討した。

【方法】
短期大学生にWebアンケートを実施した。主要評価として腹部症状評価を示すIBSのROMEIII診断基準、IBS重症度のIBS-SSS(IBS Symptom Severity Scale)。身体活動量を示すIPAQ(International Physical Activity Questionnaire)。マインドフルネス傾向を示すMAAS(Mindful Attention Awareness Scale)を行った。マインドフルネス傾向と身体活動量による腹部症状の関連を検証するため、MAASとIPAQを低中高の3群に分割し、IBS-SSSを従属変数、MAASとIPAQを因子とした二元配置分散分析とSidak法による多重比較を行った。

【結果】
1,475名に対し703名の回答を得た(男性113名、年齢19.27±2.86歳)。IBS群は184名(有病率26.2%、男性26名)であった。二元配置分散分析ではMAASとIPAQの交互作用が有意であった(F(4, 694)=3.46, p=0.008)。MAASが低いグループはIPAQ増加に従いIBS-SSSが増加した(p=0.015, IPAQ低:M=138.3, SD=95.4, IPAQ中:M=162.1, SD=88.0, IPAQ高:M=177.1, SD=98.4)。

【考察】
マインドフルネス傾向が低い者は身体活動増加により腹部症状悪化をきたす可能性がある。マインドフルネスの評価は、身体活動による健康増進効果を判別するマーカー的因子の可能性がある。

【倫理的配慮(説明と同意)】
本研究は東北大学大学院医学系研究科倫理委員会(登録番号:2020-1-836)および仙台青葉学院短期大学研究倫理審査委員会(承認番号:0222)の承認を得た。

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