講演情報

[S6-05]神経発達症の指標と基礎的な身体能力との関連

*塙 杉子1、浅野 大喜2 (1. 名古屋女子大学(名古屋葵大学)医療科学部作業療法学科、2. 日本バプテスト病院 リハビリテーション科)
【はじめに】
この 20 年間で神経発達症(NDD)と診断されるこどもの割合が世界的に増加している。日本では、5歳児の自閉スペクトラム症(ASD)の調整有病率が3.2%、また、ASDと他の疾患の併存率が高いことが報告されている(斎藤ら、2020)。今回、NDDの4-9歳のこども29名(平均年齢6.41±1.86歳)を対象に、身体機能・運動能力との関わりを調査した結果を報告する。

【方法】
対象児の評価は、レーブン色彩マトリックス検査、CARS2、Sensory Profile(SP)、SCQ(現在)、ADHD-RS-ⅤをNDDの指標、BOT-2、JPAN(ひこうき、ボールになろう、まねしてみよう)、握力、ピンチ力、深部感覚、バランス能力を身体機能・運動能力の指標として用いた。得られた結果について、Pearsonの相関係数を用いて探索的に分析し、統計学的有意水準は1%とした。

【結果と考察】
CARS2合計はSP合計およびSP味覚・嗅覚と中程度の正の相関(r=0.48)がみられ、自閉症傾向が強いほど感覚処理の困難があることが示唆された。また、CARS2合計はADHD-RS-Ⅴの不注意サブスケール合計とも相関(r=0.37)し、多動性衝動性サブスケールとは相関はほぼ見られなかった(r=0.09)。SCQ(現在)とは相関は弱かった(r=0.25)。身体機能・運動面では、年齢と握力(r=0.77)、年齢とBOT-2合計(r=0.78)など、年齢が上がるにつれて握力や運動スキルが向上する傾向がみられた。一方で、負の相関関係はCARS2とボールになろう(r=-0.45)、BOT-2合計(r=-0.45)などでみられ、自閉症傾向が強いほど、運動能力や腹筋力が低くなる傾向がみられた。また、まねしてみようはピンチ力(r=0.77)およびBOT-2合計(r=0.75)と強く関連し、模倣能力は指先の力や運動スキルの総合的な評価と強く関連するとも考えられた。また、レーブンマトリクスはBOT-2合計やFine motorと関連しており、知覚運動統合の重要性が示された。

【倫理的配慮】
本研究は,名古屋女子大学「人を対象とする研究」倫理委員会の承認を得たうえで,本報告に対し口頭と書面で説明し,同意を得ている.

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