講演情報
[SaL-05]道具使用とアフォーダンス
*石橋 凛太郎1 (1. 村田病院)
日常生活において私たちはなんの戸惑いもなくコップをつかみ、ドアを開け、狭い間口を通り抜ける。コップに珈琲がなみなみと注がれている場合、コップを持ち上げこぼした経験がある者は、自らの口をコップに近づけ飲もうとするかもしれない。人によっては、片手ではなく両手でコップを持ち安定を高め、口に近づけるだろう。これはまさに、私たちが日常的に特定の場面において、その行為が可能であるかどうかを知覚しているということに他ならず、環境の特性と自己の行為遂行能力についての情報を同時に知覚しているということである。
Gibson(1979)は、このように環境から提示され、行為者に特定の行為の可能性を与える情報をアフォーダンス(affordance)と呼んだ。道具を使用する際は、この道具が持つ無数のアフォーダンスを自らの身体経験を通して知覚し、行為を決定する。道具を通した知覚と運動は一方向の関係ではなく、行為者の経験により変化すると考えられる。Buxbaumら(2013)は、アフォーダンスは道具と効果器の相互作用によるものであり、可変的で動作の文脈に依存するとした。これを道具使用動作の中心概念であるとし、失行症における道具使用障害の病態を考える上で役立てられている。一方、認知神経リハビリテーションでの失行症は、脳内の感覚情報変換におけるマッチングの機能不全を病態仮説としてきたが、道具使用障害についてはほとんど言及されていない。
本Series Discussionでは、失行症における道具使用障害に対し、アフォーダンスの視点から病態を捉え訓練展開していくことの可能性について提案し、2名の症例提示から失行症の道具使用とアフォーダンスについて議論する機会としたい。
Gibson(1979)は、このように環境から提示され、行為者に特定の行為の可能性を与える情報をアフォーダンス(affordance)と呼んだ。道具を使用する際は、この道具が持つ無数のアフォーダンスを自らの身体経験を通して知覚し、行為を決定する。道具を通した知覚と運動は一方向の関係ではなく、行為者の経験により変化すると考えられる。Buxbaumら(2013)は、アフォーダンスは道具と効果器の相互作用によるものであり、可変的で動作の文脈に依存するとした。これを道具使用動作の中心概念であるとし、失行症における道具使用障害の病態を考える上で役立てられている。一方、認知神経リハビリテーションでの失行症は、脳内の感覚情報変換におけるマッチングの機能不全を病態仮説としてきたが、道具使用障害についてはほとんど言及されていない。
本Series Discussionでは、失行症における道具使用障害に対し、アフォーダンスの視点から病態を捉え訓練展開していくことの可能性について提案し、2名の症例提示から失行症の道具使用とアフォーダンスについて議論する機会としたい。
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