講演情報
[SaL-09]言語とアテンション
*木村 絵梨1 (1. 北海道こども発達研究センター)
本学術集会のテーマである行為のシミュレーション~臨床を研ぎ澄ます~を主軸にして、言語とアテンションについてSeries Discussionで2症例提示してもらう。この討論は認知神経リハビリテーションの言語聴覚療法の臨床場面から行う。臨床を研ぎ澄ますとは、セラピスト自身が行っている行動や思考を意識して、意識した自分を客観的に見る事で、患者の行為の回復に何が出来るかを問える。答えは患者と訓練の中で紡がれる対話にある。つまり臨床で得たセラピストの対話経験でしか見つからない。時代が少しずつ変わろうとも認知神経リハビリテーションの訓練で大事なことは、患者が話した言葉の解釈である。なぜ患者はこう言ったのだろうかと。その解釈には病態解釈や脳機能システムの理解、哲学、教育と様々な視点での知識も必要であるが、一番大切なことは訓練を通してセラピストが患者の言葉をどのように解釈をしたかということである。個々のセラピストがなぜ患者のある言葉にアテンションしたのかが大事で、その結果ある一定のルールを見つけることができ、訓練のアイデアが生み出される。患者の言葉の解釈で訓練の予測や行為の回復につながるときもあれば、間違うこともある。本学会の言語聴覚療法の理解にオースチィンの言語行為論がある。その中の発語媒介行為をキーワードにして討論する。発語媒介行為は相手に意味のある言葉を発話することで、相手から得られた効果としている。成人と小児の2症例を通して言語聴覚療法士が発語媒介行為について、患者のどのような言葉にアテンションして解釈し、訓練を設定したのか討論を行う。イタリアの行為間比較は訓練も経験としている為、行為のシミュレーションは日々の学習の積み重ねと現在の自分を比較し認知することである。言語行為も同じように考えると、近過去での訓練経験と現在の訓練について比較しシミュレーションをすることで認知過程が活性化される。近過去と現在の比較であれば、記憶容量が幼い小児も訓練において可能である。対象年齢が変わったとき言語聴覚士は患者の言葉をどのようにアテンションし解釈するのか本学術集会で話し合う。
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