講演情報
[CD-01]「見えない病態」を観る―疼痛リハビリテーションにおける情報の不一致と身体情緒
*大住 倫弘1,2 (1. 畿央大学大学院健康科学研究科、2. 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター)
疼痛は“情報の不一致”によって引き起こされる(Perfetti 2020)という仮説は非常に的確であり,疼痛リハビリテーションの基盤をなしているといっても過言ではない.とりわけ,体肢切断後の幻肢痛や複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome: CRPS)といった説明困難な疼痛のリハビリテーションにおいて,理論的な拠り所として機能している.実際,CRPSリハビリテーション研究で知られるRoyal United Hospitals(イギリス)も認知神経リハビリテーションを導入し,異なる素材を用いた接触課題によって足部の身体イメージが回復するにつれ疼痛が緩和した症例を報告している(Batalla et al. 2025).しかし,情報の不一致を解消するだけでは疼痛は必ずしも軽減しない.重要なのは“身体への情緒”という要素である(Perfetti 2020).事実,自分の手のイメージ変容に伴う嫌悪感に配慮したリハビリテーションによってCRPS症状が改善した症例も報告されている(Hirakawa et al. 2020).このように,疼痛の認知神経リハビリテーションは,情報の不整合と情動を統合して展開されるべきである.本クリニカルディスカッションでは,慢性疼痛という「見えない病態」をどのように観るかというテーマに即して,情報の不整合と身体への情緒をいかに捉えるかについて,自らの臨床経験を提示しながら議論したい
