講演情報

[CD-02]痛みという現象の再考 ー臨床的洞察に基づく多角的評価の重要性ー

*井川 祐樹1 (1. 西大和リハビリテーション病院)
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「痛み」は多岐な病因(etiology)によって特異的な症状を来たす場合もあれば,疾患横断的に類似した症状が現れる場合もある.痛みは異質性の高い病態であり,急性痛から慢性痛への移行とともに感覚処理システムの可塑的変化や認知的処理の変化など様々な要因が加わることで,より病態の複雑化が生じやすくなる.また,痛みの病態は侵害性疼痛,神経障害性疼痛,痛覚変調性疼痛といったタイプに分けられるが,臨床上では単独の病態のみで出現することは少なく,同じ時期あるいは時間差に連れて症状が混在して現れることも多い.特に,我々がリハビリテーションを提供する回復期や慢性期では,これらの病態が混在した現象に出くわす可能性は高い.患者自身の主観的な痛みの表現は,内観とは異なり,単に「痛い」といった表現として簡素化され,一見侵害的な痛み(筋骨格系の痛み)の症状としてとらえてしまう可能性も低くはない.その為,単なる痛みの現象でとらえるのではなく,痛みの表現の背景にどのような病態が隠され,どのような要因が生じているのか,臨床的洞察力(clinical insight)が重要になってくると考える.痛みの病態が見えているような錯覚に陥らずに,隠された病態に対して詳細に多角的な視点を持って評価していくことが重要であると考える.

今回,我々が取り組んできた痛みの病態に対する詳細な評価の手続き,個々に症例毎における創意工夫な評価を提示し議論したい.