講演情報

[CD-08]「この子なりの成長」の可能性を観る ~重度肢体不自由児と養育者の相互作用のVisualization~

*長森 由依1 (1. 北陸大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード
周囲とのかかわりの中で育つ子どもにとって、養育者との相互作用や愛着は心理社会的な発達の基盤となる重要な要素である(Beebe B, et al. 2010; Bowlby J, 1962)。しかし、小児分野のリハビリテーションの主な対象である肢体不自由児においては、身体的な制約や養育者の苦悩を背景として、相互作用や愛着形成、ひいては心理社会的な発達に困難を抱える懸念がある(Alexander SL, et al. 2023; Elklit A, et al. 2023)。これらの懸念は、特に身体的な制約が大きな重度肢体不自由児と養育者で高く、彼らに対する心理社会的な評価や支援が求められる。身体的な発達が見えづらい重度肢体不自由児においても、心理社会的には「この子なりの成長」が期待できることが知られている(Tan SS, et al. 2014)。重度肢体不自由児の心理社会的側面に目を向けることは、彼らの強みを伸ばし、未来を拓くことにつながる可能性がある。

本セッションでは、重度肢体不自由児を例に挙げ、一見すると見えづらい「相互作用」、「行動や感情の表出」、「心理社会的な発達」を観ようとする試みについて話題提供する。具体的には、児と養育者の相互作用の様子を行動・心理・生理データから多角的に捉え、微視的に分析し、縦断的に検討する我々の取り組みについて紹介する。過去から現在に至るまでの関係性の文脈や、将来の発達の可能性と関連づけながら、今現在の児と養育者のかかわりについて科学的に捉えることを試みる。重度肢体不自由児の見えない病態のみならず強みを観る視点の重要性や、見えないものを観るための工夫について、議論し検討する機会としたい。