講演情報

[CD-14]右半球損傷患者における"見えづらい"病態の背景をどのように観るか〜半側空間無視と病識低下の視点から〜

*辻田 有希奈1 (1. 摂南総合病院)
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右半球損傷患者は,左側の視空間の刺激を無視するだけでなく,探索・注意・知覚・行為の段階でも障害を呈する(Robertson,1999).このため,視空間のみならず多様な感覚モダリティに対して左半側空間無視(以下,USN)症状が生じ,自覚が乏しいことから治療に難渋することが多い.USNとそれに対する病識低下は右半球損傷患者の病態理解において重要な視点である.USNの病識低下は,行為の準備や意図の段階で障害が生じることに起因すると考えられる.この観点から,認知神経リハビリテーションでは,身体への注意を促し,左右比較を行う介入が提案されている.
臨床場面では,USN患者において,両手動作時に右手が優位となり左手の動作が抑制・遅延して非対称となることがあり,ADLにも影響するが患者の自覚は乏しい.今回,右半球損傷により多彩な高次脳機能障害を呈した症例を経験した.本症例は両手動作時に左手が対象を把持していないのにも関わらず,動作を継続する現象がみとめられた.これは従来のUSNの病識低下の概念とは異なり,左手の意図は保持されていたが,動作中の左手への感覚入力が不十分であったために左手の状態の把握が困難となり,病識低下が生じたと考えられた.
本セッションでは,右半球損傷後の症例を通して,USNおよび病識低下の背景にある“見えづらい”病態をどのように観察し,病態解釈に繋げるかを検討する.