講演情報
[P1-01]認知神経リハビリテーション介入を相互行為の蓄積による過程として捉える試み〜相互行為分析による21セッションの縦断的分析〜
*上田 将吾1、高木 泰宏2、山中 真司3、上羽 孝大2、山口 浩貴1、中西 亮太1、板野 綾佳1、加藤 祐一4 (1. 結ノ歩訪問看護ステーション、2. むすびのあゆみキッズ、3. デイサービスセンター結ノ歩、4. 結ノ歩訪問看護ステーション東山)
【はじめに】認知神経リハビリテーションの臨床報告では、単一場面あるいは短期間の病態解釈や、一つの認知問題の選択および設定に着目したものが多い。しかし臨床的には、セラピストと症例との相互行為の蓄積が回復に寄与すると考えられる。本研究では単一症例との21回のセッションを縦断的に分析し、歩行や認知の変化に至る相互行為の過程を記述する。
【方法】対象は脳梗塞右片麻痺を呈し、発症後6年が経過した80代男性である。在宅でのセッション21回分の録画映像、計約9時間分を視聴し、各セッションでセラピストと症例の意図が現れる発話や行為、これらが含まれる相互行為を抽出した。抽出された相互行為の変化をもとに段階化し、各段階で典型的に観察された相互行為、段階が移行する際に観察された相互行為をそれぞれ分析した。分析には相互行為分析を用い、発話・視線・身体動作に着目して分析した。
【結果】21回のセッションは①課題探索期②行為-知覚連合期③メタ認知期④自己課題設定期⑤感覚覚醒期の5段階に分けられた。②ではセラピストによる一方的な説明が多かった。②から③への移行点とした7回目のセッションでセラピストは、105秒もの間「うん」「はい」という相槌と頷き以外は沈黙かつ静止し、症例の表情や身振りを観察していた。その後、症例が自身の経験についてメタ認知し、語り始めた。また、最終段階である⑤の時期には、スポンジ硬度を足底の触圧覚で瞬時に識別可能となり、歩行は右立脚期の安定化と重心前方移動の量・速度の向上、右遊脚期のクリアランス改善が観察された。症例は「引っかかることもないし安定して歩けた」と語った。
【考察】本研究では回復に至る過程での相互行為を可視化した。心理療法ではセラピストと患者の関係性といった特定技法間で共通する要因が治療効果に影響する (Laska et al., 2014)。リハビリテーションにおいてもセラピストと症例の関係性が治療効果に影響すると考えられ、本研究で観察された相互行為は関係性構築の一端を担う可能性がある。訓練内容の議論と並行し、訓練を実施する際の相互行為を議論し精緻化する必要があると考える。本抄録では分析結果の一部を示したが、発表では各段階の具体例を提示し、詳細に議論を行う予定である。
【倫理的配慮(説明と同意)】動画撮影と研究利用について説明し同意を得た。分析において匿名性に配慮した。
【方法】対象は脳梗塞右片麻痺を呈し、発症後6年が経過した80代男性である。在宅でのセッション21回分の録画映像、計約9時間分を視聴し、各セッションでセラピストと症例の意図が現れる発話や行為、これらが含まれる相互行為を抽出した。抽出された相互行為の変化をもとに段階化し、各段階で典型的に観察された相互行為、段階が移行する際に観察された相互行為をそれぞれ分析した。分析には相互行為分析を用い、発話・視線・身体動作に着目して分析した。
【結果】21回のセッションは①課題探索期②行為-知覚連合期③メタ認知期④自己課題設定期⑤感覚覚醒期の5段階に分けられた。②ではセラピストによる一方的な説明が多かった。②から③への移行点とした7回目のセッションでセラピストは、105秒もの間「うん」「はい」という相槌と頷き以外は沈黙かつ静止し、症例の表情や身振りを観察していた。その後、症例が自身の経験についてメタ認知し、語り始めた。また、最終段階である⑤の時期には、スポンジ硬度を足底の触圧覚で瞬時に識別可能となり、歩行は右立脚期の安定化と重心前方移動の量・速度の向上、右遊脚期のクリアランス改善が観察された。症例は「引っかかることもないし安定して歩けた」と語った。
【考察】本研究では回復に至る過程での相互行為を可視化した。心理療法ではセラピストと患者の関係性といった特定技法間で共通する要因が治療効果に影響する (Laska et al., 2014)。リハビリテーションにおいてもセラピストと症例の関係性が治療効果に影響すると考えられ、本研究で観察された相互行為は関係性構築の一端を担う可能性がある。訓練内容の議論と並行し、訓練を実施する際の相互行為を議論し精緻化する必要があると考える。本抄録では分析結果の一部を示したが、発表では各段階の具体例を提示し、詳細に議論を行う予定である。
【倫理的配慮(説明と同意)】動画撮影と研究利用について説明し同意を得た。分析において匿名性に配慮した。
