講演情報

[P1-03]意味ラベルの有無が3すくみの学習プロセスと脳活動に与える影響

*塙 杉子1 (1. 名古屋葵大学医療科学部作業療法学科)
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【はじめに】
筆頭演者らは以前、幼少期のルール遊びとして知られるじゃんけんに関するfMRI研究を行い、意味あり(MF)と意味なし(ML)の3すくみ(TP)課題で神経基盤の違いを明らかにした。しかし、これまでの解析は平均的脳活動に着目し、学習進行に伴う脳活動の変化は明らかになっていなかった。

【目的】
本研究は、MFとMLの学習プロセスに関する脳活動の違いを、課題難易度や正答率の影響を考慮して探索的に示すことを目的とした。非言語的・言語的学習の順序や支援への臨床的示唆を探る。

【方法】
健康な大学生・大学院生30名を対象に、3T MRI環境下で2種類のTP課題を実施した。刺激には18種類の手の形の写真を用い、ブロックデザインで提示した。各参加者はMF(ML)TP課題を9セッション行い、30分休憩後にML(MF)TP課題を実施した。提示順等はカウンターバランスにて調整した。行動データ(正答率、反応時間)はANOVAで解析した。脳画像解析はSPM8による標準的2段階解析を行い、試行数依存の脳活動変化を解析した。また、正答率を揃えた際の脳活動変化も調べた。統計閾値は全脳ボクセル毎検定p<0.001、クラスター補正p<0.05とした。

【結果】
過度な頭部運動(3 mm以上)、統制課題の成績不良(群平均から2SD以上)による3名の参加者を除外し、27名(女性4名、平均21±1.8歳、年齢範囲18-26歳)を解析した。正答率は、2要因反復ANOVAの結果、意味の有無による主効果(F (1, 26) = 14.4, p = 0.001)およびセッションによる主効果(F (4.1, 106.1) = 31.3, p < 0.001)がみられた。学習が進むにつれ、両課題とも中側頭回や上前頭回の活動低下が観察された。MFでは小脳および右角回/縁上回の活動低下が、MLでは右島と右下前頭回を中心としたネットワークの試行数依存的な活動低下が認められた。

【考察】
MF課題では小脳-前頭葉ネットワークを活用した効率的学習が行われていることが示唆された。言語ラベル付与は認知処理を伴いつつ学習を容易にし、幼児や失語症など言語機能に制限がある場合、右島-下前頭回による非言語的学習が重要な経路となる可能性がある。これらの知見をリハビリテーションに応用していく。

【倫理的配慮】
前所属機関の倫理委員会で承認を得た後、参加者に口頭と書面で説明し同意書を得た。