講演情報
[P1-04]示指自動運動時の脳磁場活動：閉眼と直視条件の比較分析
*内倉 清等1、原口 真理士1、小出水 和也1、八木 和広2、河野 寛一3 (1. 潤和会記念病院 リハビリテーション療法部、2. 潤和会記念病院 臨床検査室、3. 潤和会記念病院 リハビリテーション科)
【はじめに】
前回我々は，視覚的フィードバックが示指他動運動時の脳活動に与える影響を脳磁図（MEG）を用いて調べ，報告した．
そこで今回，MEGを用いて閉眼および示指直視条件での手指自動運動時の脳活動を計測し，両条件下での脳磁場活動を比較検討したので報告する．
【方法】
対象は神経学的な疾患の既往のない右利き健常成人6名（平均年齢47±15.3歳）とした．運動課題は右示指の自動運動（屈曲ー伸展運動）とし，運動間隔は２秒程度とした，運動課題の条件は①閉眼：目を閉じる，②直視：右示指を直視の２条件とした．
右示指のPIP関節とDIP関節の中間に三次元加速度センサーを装着し，示指の運動と脳磁場活動のコヒーレンスを検出した．MEGで得られたデータは最小ノルム法を用いて解析し，解析結果をMRI画像に投影した後，各条件下での自動運動時の脳磁場活動を比較検討した．
【結果】
両条件において，両側（左側優位）の一次運動野，一次体性感覚野 ，前頭前野，運動前野，補足運動野，頭頂連合野，一次視覚野，後頭連合野，側頭部の脳磁場活動が確認されたが，直視条件の方がより広範囲な脳磁場の活動を確認できた．
直視条件では示指の運動に伴い，一次視覚野から下頭頂連合野，一次視覚野から下側頭部に至る領域が順次活動していくことが確認され，高次視覚野周辺の活動も多く確認できた．また，直視条件では閉眼条件に比べ，下頭頂連合野の脳磁場活動が多く確認された．
【考察】
視覚情報処理経路において，一次視覚野から頭頂葉に至る経路では空間や運動の認識が,後頭葉から側頭葉下部に至る経路ではの形態認識を担っているとされている(Rizzolatti,2003)．これらのことから，本研究においても直視条件では，同様の領域の脳磁場活動が確認されたのではないかと考える．また， 高次視覚野周辺にはMT野と呼ばれる動きの方向や速度を知覚する領域があるため，それらの脳領域の活動が確認できたのではないかと考える．
【展望と課題】
今回の運動課題は健常成人での自動運動であったが，今後は運動感覚障害等を有する脳卒中患者の運動課題中の脳磁場活動の計測等も実施していきたい．
【倫理的配慮，説明と同意】
本研究は当院倫理審査委員会の承認を受け，対象者に対し書面にて説明をし，同意を得た上で実施した．
前回我々は，視覚的フィードバックが示指他動運動時の脳活動に与える影響を脳磁図（MEG）を用いて調べ，報告した．
そこで今回，MEGを用いて閉眼および示指直視条件での手指自動運動時の脳活動を計測し，両条件下での脳磁場活動を比較検討したので報告する．
【方法】
対象は神経学的な疾患の既往のない右利き健常成人6名（平均年齢47±15.3歳）とした．運動課題は右示指の自動運動（屈曲ー伸展運動）とし，運動間隔は２秒程度とした，運動課題の条件は①閉眼：目を閉じる，②直視：右示指を直視の２条件とした．
右示指のPIP関節とDIP関節の中間に三次元加速度センサーを装着し，示指の運動と脳磁場活動のコヒーレンスを検出した．MEGで得られたデータは最小ノルム法を用いて解析し，解析結果をMRI画像に投影した後，各条件下での自動運動時の脳磁場活動を比較検討した．
【結果】
両条件において，両側（左側優位）の一次運動野，一次体性感覚野 ，前頭前野，運動前野，補足運動野，頭頂連合野，一次視覚野，後頭連合野，側頭部の脳磁場活動が確認されたが，直視条件の方がより広範囲な脳磁場の活動を確認できた．
直視条件では示指の運動に伴い，一次視覚野から下頭頂連合野，一次視覚野から下側頭部に至る領域が順次活動していくことが確認され，高次視覚野周辺の活動も多く確認できた．また，直視条件では閉眼条件に比べ，下頭頂連合野の脳磁場活動が多く確認された．
【考察】
視覚情報処理経路において，一次視覚野から頭頂葉に至る経路では空間や運動の認識が,後頭葉から側頭葉下部に至る経路ではの形態認識を担っているとされている(Rizzolatti,2003)．これらのことから，本研究においても直視条件では，同様の領域の脳磁場活動が確認されたのではないかと考える．また， 高次視覚野周辺にはMT野と呼ばれる動きの方向や速度を知覚する領域があるため，それらの脳領域の活動が確認できたのではないかと考える．
【展望と課題】
今回の運動課題は健常成人での自動運動であったが，今後は運動感覚障害等を有する脳卒中患者の運動課題中の脳磁場活動の計測等も実施していきたい．
【倫理的配慮，説明と同意】
本研究は当院倫理審査委員会の承認を受け，対象者に対し書面にて説明をし，同意を得た上で実施した．