講演情報
[P2-06]デッサン人形を用いた介入により上肢機能の改善を認めた症例
*前原 一仁1 (1. 西淀病院リハビリテーション科)
【はじめに】重度片麻痺の症例に対し,デッサン人形(以下,人形)を用いた介入を行い,上肢機能の改善を認めたため考察を踏まえ報告する.【症例紹介・評価】右放線冠から基底核に梗塞を認めた80歳代の女性.認知機能ではMMSEは20点と低下を認めた.身体機能では FMAの上肢運動機能は肩/肘6点,手指3点,感覚機能は2点,運動イメージの評価KVIQは視覚・筋感覚イメージ共に1点であった.机上のリーチ動作では肩甲帯と体幹の代償を認め,内省も「動かし方がわからへん」と記述した.唯一袖を通す動作のみ「肘を伸ばす」と記述した.感覚情報変換では言語から視覚や体性感覚への変換は困難であったが,視覚から体性感覚は可能であった.身体の中枢部へ注意を持続させることが困難であり、常時視覚情報が必要であった.常時視覚にフィードバックできるように人形を用いると代償動作の軽減と動作の再現性が得られたが,他の動作への拡張性はなかった.【病態解釈】重度麻痺のためリーチ動作が不十分なことや内省に加え,認知機能の低下から運動イメージが低下している可能性があると考えた.また,認知機能の低下により身体の中枢部へ注意を持続させることが困難であったと考えた.人形を用いて常時視覚的にフィードバックできる難易度に設定することで身体へ注意を持続することが可能になると考えた.また,袖を通すことを組み合わせることでADLと訓練の繋がりを見出せると考えた.【介入】1日30分計14日間実施した.介入はリーチ時に人形のどこが動いているか共有し,その部位が自己身体のどの部位かを確認した.次に人形の肘関節を最大伸展させた肢位で固定し,自己のリーチ動作と比較・検証した.これを繰り返した.袖を通す課題でも同様の事の過程で実施した.【最終評価】FMAの上肢運動機能は肩/肘16点,手指4点,感覚機能は6点,KIVQは視覚的イメージ3点,筋感覚イメージ2点となった.机上のリーチでは代償動作が軽減し,日常生活での手を洗う時に左上肢を洗面台に乗せるなどの参加を認めた.【考察】人形を使用し運動部位を予測した後に体性感覚と視覚とを比較するように促したことで注意を持続できたと考えた.また,想起可能な行為を組み合わせたことで運動の予測が高まり,結果として運動イメージが促進し,上肢機能の改善に至ったと考えた.【倫理的配慮 説明と同意】本発表は症例に同意を得た.
