講演情報
[P4-08]認知神経リハビリテーションの言語訓練を参考にパントマイム訓練を展開した失行症例
*横山 航太1、髙見 宏祥2 (1. 札幌在宅クリニックそよ風、2. 新札幌パウロ病院)
【はじめに】認知神経リハビリテーション(以下、NCR)の言語訓練は絵カードの意味単位を変化させるという手続きで患者が注意を向けるべき対象が動詞、名詞または目的語なのかを変化させながら訓練を展開する。今回、道具使用のパントマイムで特徴的なエラーが生じていた失行症例に対してNCRの言語訓練を参考に、注意を向ける対象を明確化させながらパントマイムの解読・産出訓練を実施し、生活場面での道具使用時における失行症状の改善を認めたため報告する。
【対象と方法】発症後約1カ月の心原性脳梗塞を呈した60歳代前半の男性で明らかな麻痺は認めず、失語症と失行症が主症状であった。標準高次動作性検査(以下、SPTA)では上肢慣習的動作、上肢物品を使う動作(物品なし)で誤反応率が高かった。模倣は良好、道具の使用は自然状況下では遂行出来ても他者から依頼されると遂行困難だった。道具を使用しないパントマイムでは、解読はセラピストの道具を持つ手の形や手関節の動きに注意が向きにくく、産出も同様に持ち方や手関節の動きでのエラーが多く、保続やBPOも認められた。訓練では、道具が描かれた絵カードを用いて道具使用のパントマイムの解読・産出訓練を実施した。症例は模倣が良好であったため、パントマイムの解読→模倣→産出という手順で訓練を展開した。絵カードで提示する道具は「箸/スプーン/コップ/剃刀」のように顔へ近付けるという上肢の動きは一緒だが道具の持ち方が異なるように設定し、パントマイムを観察する上で必要な情報の取捨選択を求めた。また、産出訓練では症例に問題を出してもらうという方法で実施し、1日30分間を4週間継続した。
【結果】訓練におけるパントマイムは概ね可能となった。SPTAでは上肢物品を使う動作(物品なし)が正しく遂行可能となった。病棟場面においても他者に整容動作を依頼された際に正しく遂行することが可能となった。
【考察】今回、NCRの言語訓練を参考に注意を向ける対象を明確化したパントマイム訓練を実施した。どこに注意を向けたら良いのかを症例自身が取捨選択することでパントマイム自体や生活場面における失行症状が軽減したものと考える。失行症状と失語症状は合併していることが多く、損傷部位も隣接していることから、言語の学習過程を踏まえた治療方法が効果的なのではないかと考える。
【倫理的配慮】本発表に際して本人に同意を得ている。
【対象と方法】発症後約1カ月の心原性脳梗塞を呈した60歳代前半の男性で明らかな麻痺は認めず、失語症と失行症が主症状であった。標準高次動作性検査(以下、SPTA)では上肢慣習的動作、上肢物品を使う動作(物品なし)で誤反応率が高かった。模倣は良好、道具の使用は自然状況下では遂行出来ても他者から依頼されると遂行困難だった。道具を使用しないパントマイムでは、解読はセラピストの道具を持つ手の形や手関節の動きに注意が向きにくく、産出も同様に持ち方や手関節の動きでのエラーが多く、保続やBPOも認められた。訓練では、道具が描かれた絵カードを用いて道具使用のパントマイムの解読・産出訓練を実施した。症例は模倣が良好であったため、パントマイムの解読→模倣→産出という手順で訓練を展開した。絵カードで提示する道具は「箸/スプーン/コップ/剃刀」のように顔へ近付けるという上肢の動きは一緒だが道具の持ち方が異なるように設定し、パントマイムを観察する上で必要な情報の取捨選択を求めた。また、産出訓練では症例に問題を出してもらうという方法で実施し、1日30分間を4週間継続した。
【結果】訓練におけるパントマイムは概ね可能となった。SPTAでは上肢物品を使う動作(物品なし)が正しく遂行可能となった。病棟場面においても他者に整容動作を依頼された際に正しく遂行することが可能となった。
【考察】今回、NCRの言語訓練を参考に注意を向ける対象を明確化したパントマイム訓練を実施した。どこに注意を向けたら良いのかを症例自身が取捨選択することでパントマイム自体や生活場面における失行症状が軽減したものと考える。失行症状と失語症状は合併していることが多く、損傷部位も隣接していることから、言語の学習過程を踏まえた治療方法が効果的なのではないかと考える。
【倫理的配慮】本発表に際して本人に同意を得ている。
