講演情報
[P5-07]股関節疾患における側方安定性限界の客観的評価と主観的荷重感の関連性
*磯江 健太1、伊藤 拓海1、赤口 諒1 (1. 摂南総合病院 リハビリテーション科)
【はじめに】股関節疾患において,患側荷重量の低下により非対称な姿勢制御を呈することが報告されている.臨床上は多くの症例で体幹側屈の代償がみられ,患側荷重量を誤認していることは少なくない.本研究では,側方への重心移動時の立位姿勢計測による客観的指標と主観的荷重感の関連性を検討した.
【方法】対象は大腿骨頸部骨折6名,大腿骨転子部骨折7名(年齢80.69±5.06)とし,初期(術後1か月以内)と2週間後に評価を行った.バランス機能はBerg Balance Scale (BBS)を用いた.立位姿勢計測は健側・患側への安定性限界の2条件で実施し,重心動揺計(テック技販社製)により足圧中心(COP) を計測し,面積,速度,左右位置を算出した.さらに,深度データ計(Microsoft社製)により身体重心(COM)および頭部位置を測定し,COMと頭部の左右位置の差(MH距離)を算出し,体幹側屈の代償の指標とした.主観的荷重感(充分に荷重ができている自信)は各条件でNRSにより評価した.統計解析は条件と評価時期の2要因に対し二元配置分散分析を行い,事後検定にBonferroni法を用いた.また,各変数の変化量間の関連性をスピアマンの順位相関係数によって検討した.有意水準は5%とした.
【結果】二元配置分散分析の結果,各条件のCOPの面積と速度は有意差を認めなかったが,COP左右位置とMH距離は条件に主効果を認めた.一方で,主観的荷重感は条件と評価時期に主効果を認め,客観的指標と乖離を示した.患側条件のCOP左右位置の変化量は主観的荷重感の変化量(r=0.60)およびBBSの変化量(r=0.57)と有意な相関関係を示したが,MH距離は有意差がなかった.
【考察】股関節疾患症例は患側への重心移動が制限され体幹側屈の代償を伴い2週間では有意な安定性限界の拡大は認めなかったが,その変化量は主観的荷重感やバランス機能の改善と関連した.一方,主観的荷重感は必ずしも正確ではなく,実際の重心移動距離と一致しない場合があることが示唆された.本研究より,体幹側屈の代償を部分的に許容しつつ,患側への安定性限界を広げることが重要であり,主観的荷重感と客観的評価の両面から評価する意義が示された.
【倫理的配慮,説明と同意】個人情報の保護とプライバシーに配慮し,症例に応じて説明を行い,口頭および書面にて同意を得た.
【方法】対象は大腿骨頸部骨折6名,大腿骨転子部骨折7名(年齢80.69±5.06)とし,初期(術後1か月以内)と2週間後に評価を行った.バランス機能はBerg Balance Scale (BBS)を用いた.立位姿勢計測は健側・患側への安定性限界の2条件で実施し,重心動揺計(テック技販社製)により足圧中心(COP) を計測し,面積,速度,左右位置を算出した.さらに,深度データ計(Microsoft社製)により身体重心(COM)および頭部位置を測定し,COMと頭部の左右位置の差(MH距離)を算出し,体幹側屈の代償の指標とした.主観的荷重感(充分に荷重ができている自信)は各条件でNRSにより評価した.統計解析は条件と評価時期の2要因に対し二元配置分散分析を行い,事後検定にBonferroni法を用いた.また,各変数の変化量間の関連性をスピアマンの順位相関係数によって検討した.有意水準は5%とした.
【結果】二元配置分散分析の結果,各条件のCOPの面積と速度は有意差を認めなかったが,COP左右位置とMH距離は条件に主効果を認めた.一方で,主観的荷重感は条件と評価時期に主効果を認め,客観的指標と乖離を示した.患側条件のCOP左右位置の変化量は主観的荷重感の変化量(r=0.60)およびBBSの変化量(r=0.57)と有意な相関関係を示したが,MH距離は有意差がなかった.
【考察】股関節疾患症例は患側への重心移動が制限され体幹側屈の代償を伴い2週間では有意な安定性限界の拡大は認めなかったが,その変化量は主観的荷重感やバランス機能の改善と関連した.一方,主観的荷重感は必ずしも正確ではなく,実際の重心移動距離と一致しない場合があることが示唆された.本研究より,体幹側屈の代償を部分的に許容しつつ,患側への安定性限界を広げることが重要であり,主観的荷重感と客観的評価の両面から評価する意義が示された.
【倫理的配慮,説明と同意】個人情報の保護とプライバシーに配慮し,症例に応じて説明を行い,口頭および書面にて同意を得た.
