講演情報
[SY-02]身体特異性注意から紐解く麻痺手の病態理解:使用行為の促進と機能回復の戦略
*大瀧 亮二1 (1. 東北福祉大学 健康科学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻)
脳卒中後上肢リハビリテーションにおいて機能回復の可能性を最大化するには、深い病態理解に基づく戦略が不可欠である。学会テーマ「見えないものを観る—行為と認知のvisualization—」の観点による病態理解においては、運動麻痺や感覚障害などに加えて、外部から直接観察できない自己身体に向けられる注意である「身体特異性注意」という新たな視点にも注目したい。
我々の研究室では身体特異性注意の測定法を開発し、慢性期脳卒中患者における麻痺肢の学習性不使用を身体意識の側面から初めて定量化した(Aizu et al., 2018)。しかし、発症から慢性期に至る身体特異性注意の長期的変容と実生活における上肢の使用行為との関係は明らかでなかった。そこで亜急性期脳卒中患者を対象に、加速度計により日常生活における上肢使用頻度を、心理物理学的手法により身体特異性注意を縦断的に計測し、回復過程における関連を検討した。その結果、発症早期における麻痺手の身体特異性注意の増加は上肢使用行為を長期的に促進し、使用頻度の増加は機能回復と関連することが明らかになった(Otaki et al., 2022)。さらに我々は、健常者を対象とした検討において、手・足に対する身体特異性注意の特性と感覚運動機能との関連を明らかにし(Aizu et al., 2022)、身体特異性注意の身体認知や運動制御への貢献に対する理解を深めた。
これらの一連の研究により、自己身体に対する注意という外部からは“見えない”要素の可視化・定量化が病態理解に資することを示し、身体特異性注意を高めることによって麻痺手の使用を促進する新たな治療ストラテジーの構築可能性が考えられる。本講演では、以上の知見を踏まえて上肢機能の回復可能性を最大化する戦略について展望する。
我々の研究室では身体特異性注意の測定法を開発し、慢性期脳卒中患者における麻痺肢の学習性不使用を身体意識の側面から初めて定量化した(Aizu et al., 2018)。しかし、発症から慢性期に至る身体特異性注意の長期的変容と実生活における上肢の使用行為との関係は明らかでなかった。そこで亜急性期脳卒中患者を対象に、加速度計により日常生活における上肢使用頻度を、心理物理学的手法により身体特異性注意を縦断的に計測し、回復過程における関連を検討した。その結果、発症早期における麻痺手の身体特異性注意の増加は上肢使用行為を長期的に促進し、使用頻度の増加は機能回復と関連することが明らかになった(Otaki et al., 2022)。さらに我々は、健常者を対象とした検討において、手・足に対する身体特異性注意の特性と感覚運動機能との関連を明らかにし(Aizu et al., 2022)、身体特異性注意の身体認知や運動制御への貢献に対する理解を深めた。
これらの一連の研究により、自己身体に対する注意という外部からは“見えない”要素の可視化・定量化が病態理解に資することを示し、身体特異性注意を高めることによって麻痺手の使用を促進する新たな治療ストラテジーの構築可能性が考えられる。本講演では、以上の知見を踏まえて上肢機能の回復可能性を最大化する戦略について展望する。
