講演情報

[I-OR07-01]本邦におけるタンパク漏出性胃腸症で入院を要したフォンタン循環患者の治療の現状:前向き多施設コホート研究(フォンタンレジストリー)から

大内 秀雄1, 武井 黄太2, 宗内 淳3, 笠原 真悟4, 連 翔太5, 小野 晋6, 齊木 宏文7, 藤野 光洋8, 倉石 建治9, 林 立申10 (1.国立循環器病研究センター 小循環器内科, 2.長野県立こども病院 循環器小児科, 3.JCHO九州病院 小児科, 4.岡山大学病院 心臓血管外科, 5.福岡市立こども病院 循環器科, 6.神奈川県立こども医療センター 循環器科, 7.岩手医科大学 小児科, 8.大阪市立総合医療センター 小児循環器科, 9.大垣市民病院 小児循環器・新生児科, 10.茨城県立こども病院 循環器科)
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キーワード:

フォンタン、蛋白漏出性胃腸症、治療

【背景】タンパク漏出性胃腸症(PLE)はフォンタン(F)術後に発症する重篤な合併症で依然死亡率は高く患者のQOLを著しく低下させるが、その治療法は標準化されていない。【目的】本邦での入院PLE患者の診療の現状を明らかにする。【方法】日本の20施設でのF患者3227例(平均14歳)の前方視的観察3年間からPLEで入院した40例の治療法(非薬物、薬物、補充)、経過と予後を明らかにする。【結果】入院時年齢は中央値14歳(IQR:8-21)、入院期間18日(IQR:9-35)であった。治療は非薬物が酸素投与(O2、53%、治療日数:中央値16日、以下同様)、カテーテル治療(13%)、その他(9%)、薬物は利尿薬(55%、8日)、ヘパリン(48%、23日)、強心薬(23%、16日)、ステロイド(5%)、補充はアルブミン(Alb、58%、5日)、免疫グロブリン(IgG)(静注58%、皮下注33%)、輸血(20%)であった。O2と強心薬は高BNP、低Alb例に、AlbとIgG投与は低酸素血症、低Alb例で多かったが(p<0.05)、利尿薬、ヘパリン、IgG皮下注の投与の有無で臨床像に有意差はなかった。退院時体重は7±5%減少、電解質(Na、K)は低下し、Alb、総ビリルビン、肝酵素(ALT、GGT)は上昇した(p<0.05-0.0001)。退院時の内服変更頻度(%、増量、減量)は利尿薬(38、7)、β遮断薬(17、0)、ACEI/ARB(9、9)、肺血管拡張薬(0、9)であった。退院後21例(53%)が再入院し19例(90%)の原因がPLEであった。前回入院時の低Alb、退院時の低血圧、正常血清K値(≧3.5)、利尿薬調整なし例で再入院リスクが高かった(p<0.05)。利尿薬静注と補充を要した例は早期再入院を要した。【結論】本邦の入院PLE患者の診療の現状を明らかとした。高頻度の治療抵抗性PLE患者の長期QOL向上には、病態解明に加え、心臓移植を見据えた治療戦略の構築が望まれる。