講演情報

[II-OR21-06]冠動脈造影CTによる川崎病後遠隔期リスク層別化-急性期の最大冠動脈拡張Z soreに基づいた検証-

大橋 啓之1, 原田 智哉1, 武岡 真美1, 淀谷 典子1, 澤田 博文1, 土肥 薫2, 北川 覚也3, 佐久間 肇3, 三谷 義英1 (1.三重大学大学院医学系研究科 小児科学, 2.三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学, 3.三重大学大学院医学系研究科 放射線医学)
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キーワード:

川崎病、冠動脈障害、造影CT

【背景】AHA statementにおける川崎病後遠隔期管理では,急性期の最大冠動脈拡張Z scoreに基づきレベル1-5に分類してフォローアップ回数,検査が定められ,画像検査については造影CT(CTA)による評価が推奨されている.【目的】川崎病遠隔期におけるリスクレベル分類でのCTA評価の検討.【方法】2009年3月から2024年12月までに当院で川崎病後15年以上経過しCTA施行した症例で,急性期の冠動脈最大径評価を行っている症例.【結果】症例は62例,年齢19.8歳(IQR18.5-22.8),川崎病後17.8年(IQR16.3-20.5),男/女=38/24.冠動脈病変(CAL)は,病初期から正常(NS) 30例,退縮瘤(RAN) 8例,持続瘤(PAN)24例.AHAレベル1(L1)は28例,L2は0例,L3は3例,L4は15例,L5は16例.冠動脈イベントは心内膜下梗塞(無症状)1例(L5),無症候性閉塞2例(L4, L5),急性冠症候群1例(L5),虚血検査陽性で待機的PCI 2例(L5).L1は全例NS,L3はNS 2例,RAN 1例で,CTAにおいては全例zero calcium score (CS),plaque -で,新規発見の冠動脈内腔病変は認めなかった.L4はRAN6例,PAN9例.RANの5例でzero CS,plaque -だったが,1例でCS 45でcalcified plaqueを認め,PAN9例の内で3例はzero CS,plaque -であったが,他の6例でnon-calcified plaque1例/calcified plaqueを5例で認めた.L5はRAN1例,PAN15例.RANの1例は内腔病変はなしだがCS 1,calcified plaqueを認めた.PAN15例の内3例はzero CS,plaque-.他の12例ではcalcified plaqueを認めた.【結果】15年以上経過した遠隔期CTAでL1とL3(Z score<5)では内腔病変を新規診断されることはなく,zero CS,plaque -であった.RANであってもL4とL5 (Z score≧5)の一部ではcalcified plaqueを認めた.【結語】CTAは遠隔期内腔病変と冠動脈plaqueとの両方の評価に有用でリスク層別化が可能性となる.低被爆化の一般化により,今後は成人移行期におけるCTAによるサーベイランスが有用となりえる.