講演情報

[学校保健体育-A-14]部活動の地域展開は学校組織にどのような影響をもたらすのか(経)実証事業受託自治体に所在する公立中学校を対象とした質問紙調査

*林田 敏裕1 (1. 東京学芸大学)
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部活動の地域展開がもたらす影響は多岐にわたることが予想される。例えば、教員の長時間勤務の是正といった正の影響は政策的にも大きな期待が寄せられる一方で、スポーツ格差の拡大などの負の影響が生じる可能性も指摘されている。ただし、そうした地域展開による影響を把握するためのエビデンスは十分ではない。とりわけ、学校組織への正負の影響を包括的に究明した実証研究は管見の限りほとんどない。
そこで本研究では、部活動の地域展開が学校組織にもたらす包括的な影響を明らかにするために、実証事業受託自治体に所在する公立中学校を対象とした質問紙調査を実施する。ここで明らかになった知見をもとに、地域展開がもたらし得る正負の影響を考察するとともに、今後求められる研究について議論を行う。
調査は「令和7年度地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業」を受託した市区町村に所在する公立中学校の中から選定した1,982校を対象に2026年2月から3月の期間に行った。分析に用いたサンプル数はn=643である。
主な結果は以下の通りである。(1)本サンプルのうち、63.6%が地域展開を行っていた。その中で、全ての運動部を地域展開した中学校は40.1%であった。(2)全ての運動部を地域展開した中学校の7割ほどが「長時間労働をする教員」が「とても減った」か「やや減った」と回答した。(3)「地域の団体や人材との連絡調整のために時間を費やす教員」については、2割程度が「やや増えた」と回答した。
これらの結果を踏まえ、地域展開の実施は学校組織に正負の影響を及ぼし得ること、さらにはその影響が現時点では限定的かつ部分的であることを指摘する。今後は、地域展開がもたらす影響を多角的かつ長期的に分析・検証することが求められるとともに、地域展開後の学校組織や各種体育事業の構造変化の動態を精緻に描く必要があることを提起する。

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